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44話 コバルトブルー
「っくそ、油断したっ」
コバルトブルーは抵抗しようとしたが、糸が張り詰め力を入れても切れなかった。特殊に編み込まれた糸だ。抵抗を諦めた様に座り込み、声の主に向く。
それは昨日自分を捉えようとしていたキーパーだ。
「話ってなんだ?」
「その食事の入手経路と入手方法をお教えいただけないでしょうか?」
キーパーが言うとコバルトブルーはあっさりと答える。
「人間界のコンビニとかスーパー」
「そこに行けば貰えるのですか?」
「買うんだよ。お金が必要なの」
コバルトブルーは何をバカげたことをと言うように鼻で笑った。
「対価はどのように手に入れてるんでしょうか?」
「まあ仕事かなぁ~」
と言ってコバルトブルーは目をそらした。
「今後、倍の食事を運んでいただくことは可能でしょうか?」
「嫌だ」
コバルトブルーは即答した。
「では即刻死刑と致します」
キーパーが淡々と言い、ナイフを取り出した。
「え、展開早すぎない!?」
「では二食分お願いできますか?」
キーパーはナイフをかまえた。どう見ても脅しをかけている。
コバルトブルーは言い淀んだ。
「お金にも限りがあるんだよ。なんで二人分必要なんだ?」
「これは口外無用でお願いいたします。王が、人間の食事を大変気に入られ、蔵之介様の食事を奪いそうになったんです」
何事かと思ったが、事情を知りコバルトブルーはあきれた様子で笑った。
「なんでそうなってるんだよ」
コバルトブルーは後ろ手でナイフを取り出し糸を一本切った。それは縦糸で、粘り気はない。しかしそこから伸びる糸が体に付着し、さらには繋がる縦糸がまだ三本ある。
「ところで、あなたは蔵之介様に飼われていた海様でいらっしゃいますか?」
コバルトブルーは糸を切ろうとしていた手を止め、数秒黙った
「違うな、誰かに飼われて事はない」
「ではなぜ食事を運ばれてくるのですか?王の見解では、蔵之介様に助けていただいた恩返しではないかと仰っていましたが」
「ちげーよ!俺はあいつに捨てられたんだ!」
コバルトブルーは叫んだ。どこか悔やんでいるようだった。
「では海様ということで間違いはないんですね」
コバルトブルーは、しまったと顔をそらす。
「必要でしたら王がここで使える対価でしたらお支払いすすると仰っております。対価を払うとすればあなたも真正面から城に入ってくることができ、慌てて出ていく必要もありません。蔵之介様とお話しできる機会もあると思いますが契約致しませんか?」
海は黙ったままだった。
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