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48話 コバルトブルーの精液採取
ビアンカは大きくゆっくり深呼吸をする。
昨日の手すりを壊した姿を思い出し、ピーはまた何かを破壊しないかとひやひやしていた。
「なぜ蔵之介について回っていたんだ?」
「どうだっていいだろ」
蔵之介との事になると、海はすぐにはぐらかそうとしていた。
ビアンカは仕方ないといった様子で笑った。
「言う気がないなら仕方ないか。ピー、精液の採取を」
「は?」
海は間抜けな声を出し
「え?」
と蔵之介は驚き声を出したがその声は海の声とかぶり、海には届いていなかった。
「おい、止めろ!!」
「仕方ないだろう、理由もなく蔵之介について回るなんて考えられない。スペルマウェブの犯人だと思われても仕方ないだろう」
「違うだろ!?おまっ!」
海は口に糸を張られ、声が出せなくなった。
「んー!!!」
足を開いた状態で床に糸で貼り付けられ、キーパーに後ろから腕を羽交い絞めにされる。ピーはその前に起ちゴム手袋を両手につけ、引っ張り離すとパチンと音を立てた。
「や、やめ……」
海は涙目で暴るが、ピーは容赦なくズボンに手をかけた。
驚いて絶句する蔵之介はゼノスを見る。
「大丈夫です、すぐに終わります」
とゼノスは蔵之介の後ろに回り蔵之介の肩に手を置いた。黙って待てという事だろう
「え?え?」
混乱する蔵之介はカーテン越しで、シルエット程度でしか状況は分からない。
ビアンカは立ち上がり、玉座の後ろへ向かった。
カーテンをめくり、蔵之介の元へ向かい腰をかがめた。
右耳を手のひらでふさぎ、反対の耳に唇を寄せる。
蔵之介はキスをされるのかと思い、きゅっと目を閉じた。
しかし、耳にぬるりとした感触がし、ぞくぞくと腰が震えた。
「あっ」
思わずビアンカの服を掴み抵抗しようとするが、ビアンカの右手が首元にまわり離れない様強く引かれた。
耳元でぴちゃぴちゃと舌が動き、耳の穴の口をゆっくりなぞられる。
「ひぅっ」
蔵之介はその感覚におぼれながら、口を手で押さえた。
こんな所で、ゼノスも後ろにいるし。カーテンの向こうにはピーも、キーパーも、海もいるのに……。
右耳をふさがれているせいで、左耳から入ってくる音と感触に敏感になる。
肩が震え、声が洩れそうになるのを必死に堪えた。
海が何か抵抗する声が聞こえるが、何を言っているのかは分からない。ただ耳元のビアンカの舌の動きに堪えるのがやっとだった。
「嫌だ!!自分でやる!!やめろ!!!!んぅ……っ!!!」
海が叫ぶ声が聞こえ、静かになった。
数秒後、
「ビアンカ様、終わりました」
ピーの声が聞こえ、ビアンカは蔵之介の耳から口を離した。
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