50 / 204

48話 コバルトブルーの精液採取

 ビアンカは大きくゆっくり深呼吸をする。  昨日の手すりを壊した姿を思い出し、ピーはまた何かを破壊しないかとひやひやしていた。 「なぜ蔵之介について回っていたんだ?」 「どうだっていいだろ」  蔵之介との事になると、海はすぐにはぐらかそうとしていた。  ビアンカは仕方ないといった様子で笑った。 「言う気がないなら仕方ないか。ピー、精液の採取を」 「は?」  海は間抜けな声を出し 「え?」  と蔵之介は驚き声を出したがその声は海の声とかぶり、海には届いていなかった。 「おい、止めろ!!」 「仕方ないだろう、理由もなく蔵之介について回るなんて考えられない。スペルマウェブの犯人だと思われても仕方ないだろう」 「違うだろ!?おまっ!」  海は口に糸を張られ、声が出せなくなった。 「んー!!!」  足を開いた状態で床に糸で貼り付けられ、キーパーに後ろから腕を羽交い絞めにされる。ピーはその前に起ちゴム手袋を両手につけ、引っ張り離すとパチンと音を立てた。 「や、やめ……」  海は涙目で暴るが、ピーは容赦なくズボンに手をかけた。  驚いて絶句する蔵之介はゼノスを見る。 「大丈夫です、すぐに終わります」  とゼノスは蔵之介の後ろに回り蔵之介の肩に手を置いた。黙って待てという事だろう 「え?え?」  混乱する蔵之介はカーテン越しで、シルエット程度でしか状況は分からない。  ビアンカは立ち上がり、玉座の後ろへ向かった。  カーテンをめくり、蔵之介の元へ向かい腰をかがめた。  右耳を手のひらでふさぎ、反対の耳に唇を寄せる。  蔵之介はキスをされるのかと思い、きゅっと目を閉じた。  しかし、耳にぬるりとした感触がし、ぞくぞくと腰が震えた。 「あっ」  思わずビアンカの服を掴み抵抗しようとするが、ビアンカの右手が首元にまわり離れない様強く引かれた。  耳元でぴちゃぴちゃと舌が動き、耳の穴の口をゆっくりなぞられる。 「ひぅっ」  蔵之介はその感覚におぼれながら、口を手で押さえた。  こんな所で、ゼノスも後ろにいるし。カーテンの向こうにはピーも、キーパーも、海もいるのに……。  右耳をふさがれているせいで、左耳から入ってくる音と感触に敏感になる。 肩が震え、声が洩れそうになるのを必死に堪えた。  海が何か抵抗する声が聞こえるが、何を言っているのかは分からない。ただ耳元のビアンカの舌の動きに堪えるのがやっとだった。 「嫌だ!!自分でやる!!やめろ!!!!んぅ……っ!!!」  海が叫ぶ声が聞こえ、静かになった。  数秒後、 「ビアンカ様、終わりました」  ピーの声が聞こえ、ビアンカは蔵之介の耳から口を離した。

ともだちにシェアしよう!