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59話
蔵之介は言って、数秒後顔が赤くなる。これって好きって言ってるようなものだと自覚した。
「どうしよう、なんか恥ずかしいこと言った気がする!」
と両手で顔を覆う。
ゼノスが純粋で、そういう事を言っても茶化してこないせいかなんでも話してしまう。
蔵之介は気を付けようと心に決めた
ビアンカの部屋、ソファに座るビアンカの横で膝を付き、海はぎこちない笑みを浮かべていた。
「それで、蔵之介にどこまで話したんだ?」
ビアンカは怒り気味に聞いた。
「性別が一つしかないって事と、子供は一人で作れるってことと、俺の家系は 性成熟しても色が変わりにくくなったって事くらいかな」
海は呑気に言うと、ビアンカはため息を着いた。
「生贄の役割については話してないだろうな?」
「あー、やっぱそれも話してないんだ」
海はビアンカを睨みつけるように見据えた。海は冷や汗を垂らすが、笑いながら続ける。
「成熟したらするんだろ?蔵之介に早めに話して心の準備はさせといた方がいいんじゃないか?人間と蜘蛛は違うし、体内に卵を生みつけて出産させるなんてそう簡単に理解できることじゃない。しかも人間と生まれる数は比じゃない。そう簡単に心も体も耐えられるものじゃない」
「だから蔵之介が成熟してからと考えていたんだ。それをお前は余計なことをしてくれた」
ビアンカはため息をついた。
ドアがノックされ、ピーの声が聞こえる。
「入れ」とビアンカは短く言って、ピーは入ってきた。
空気の重さを感じわずかに眉間にしわを寄せる。海の少し後ろに立ち、逃げ場をふさぐように立った。
「それで、俺を雇ったってことは、将来的に俺も蔵之介としていいってことか?」
海が聞くとビアンカは鋭く海を睨みつける。
すると、部屋の空気が一瞬で変わった。海は背筋が氷り、身動きが取れなくなる。先ほど王座についていた時でも感じなかった威圧感。一歩でもむやみに動けば殺される。海はそう感じ、それでも軽く笑った。
「冗談だ」
海が言うと威圧感がやわらぐ。安心していると、後ろから頭を小突かれる。
「余計な事を言うんじゃない」
ピーも冷や汗をかいていた。それほど恐ろしい人間なのか。
海は察し、たたかれた頭をさする。
ビアンカは立ち上がり海の前に立つ。
「海、君が蔵之介に卵を植え付けた場合、流産させる。蔵之介の体への負担を考えてのことだ。未成熟の体に、沢山の子供を生ませる事はできない。しかし、流産をさせる事は出産と同等の苦しみと、それ以上の悲しみがある。そして君は死罪を免れない。蔵之介にその苦しみと悲しみ全てを背負わせる覚悟があるか?」
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