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62話

 毒や、酸に関しては種類ごとのものなので、進化の過程で変わったものもいる様だ。  しかし、性別がないため雌の要素を多く持つ蜘蛛は、通常のオスより大きく育ったり、色も雌の色になったりするらしい。  海もその影響をうけたコバルトブルースパイダーだった。本来、オスのコバルトブルーは性成熟を済ませると色が変わる。しかし、海は青いままだ。  蔵之介は隣を歩く海を見ると、髪の色は光に透け綺麗に青黒さを輝かせていた。中庭の中央で陽が高く上り普段より透明感を感じる。 「どうした?」 「不思議だなっと思って。髪も綺麗な色」  蔵之介は海の頭に手を伸ばした。軽く髪を撫でると海はその場にかがんだ。  海は蔵之介より10㎝程身長が高い。かがんで貰うと頭は下に来る。それをのぞき込み何度か撫でた。 「あ、そういえばこの毛には毒があるの?バードイ―ターの種類には毛をとばして、攻撃するのもいるよね?」 「俺はバードイ―ターじゃないよ」 「え、そうなの!?タランチュラって全部バードイ―ターかと思ってた」 海は少し顔を上げ、蔵之介を見る。 「それで飼われてた時、俺を触るの避けてたよな。何度違うって言っても聞こえてないし」 「言ってたの!?ごめん、気付かなかった」  蜘蛛の言葉を分かるはずはなかったが、蔵之介は肩を落とす。海は俺に話書けてくれてたんだ……。それが正直に嬉しい。 「いいよ、伝わらないのは分かってたことだし。  毛に毒性のある種はいるけど、腹部のものがおおい。だから頭を触れる分には問題はないよ。そもそも頭に触れてく奴もなかなかいないけどな」  蔵之介ははっとして、撫でていた手を止めた。 「ご、ごめん。気安く触ってほしくないよね」  手を震わせながら、髪から手を離した。 「蔵之介ならいくらでも触ってぜ」  海は嬉しそうに笑った。 「そ、そっか。ありがとう」  蔵之介もホッとしてほほ笑む。  いろいろ聞いていると、実際のところ、蜘蛛同士でも全てを把握しているわけではないらしい。  人間もその人の習慣で性格も、特技も価値観も変わってくる。それと同じ感覚なのだろう。海外の人なんかになると、さらに違う。蜘蛛もそういう感じに違うのだろう。  中庭の散歩も終え、部屋に戻ろうとすると城内に突然鐘が響いた。 「何の音だ?」  海が音の出所を探す。ゼノスは慌てて蔵之介を海の方へ押す。 「警報です。海さん、すぐに蔵之介様を部屋へ連れて行ってください」 「警報?どんな時になるんだ?」 「分かりません、前は侵入者でした」 「分かった」

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