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90話

 ビアンカはそこで言葉を止め、蔵之介を抱きしめた。蔵之介はビアンカを抱きしめ返した。 「その個体は、一人で精子を作り、卵子をつくり、卵のうを作れる。一人で全て完結する個体だった。その者が人の体内に卵を生むと、さらに能力値が高く、人に近い個体が埋まれるようになった」  蔵之介はそれを聞いてビアンカを抱きしめた。 「俺は母体なんだね?」  ビアンカは頷く。 「それが生贄と呼ばれる理由だ。それ以来、人間の体内に卵を生みつけ生ませることで強い個体を生み出し続けている。僕もその過程で生まれた一人だった。 人間並みに長寿となり、知識も能力も備わった。だから、蔵之介にもそれをしてもらう必要があるんだ。  しかし、生贄と送り込まれた蔵之介は前回の個体よりも幼く。まだ卵を生みつけて耐えられるとは思えなかった、まだ様子をみようという事になった。  けど、制御を知らないものがいてこの前のような痛ましい事件が起きてしまった。  僕たちもまた仲間を増やさないといけない。ただ増やすだけなら母体を選ばず、卵のうを作り生めばいい。それですぐにでもできるが、やはり皆強い個体を望んでいる」  ビアンカはいうと、蔵之介から体を離して頬に手を添えた、二人は見つめ合い蔵之介は自然と目を閉じ、ビアンカは唇を重ね、すぐに離れた。 「この前の成人の宴から早く子供を作る用皆からせかされてるんだ。しかし、蔵之介の心が癒えてからにしたかった。蔵之介は怒るかもしれないが当日の夜の事は皆知っている、アダルトになったため僕の独断で手を出したと。それで出来たのなら問題ないはずだとさらに強く押されている」 「そ、それもみんな知ってるんだ……」  蔵之介は恥ずかしさでビアンカに抱きついた。 「すまない、しかし話さなければ蔵之介が精通した理由を「強姦されたから」と位置づけされてしまうと思ったんだ。それは避けたかった。」 「確かにそれは嫌だな。むしろ言ってくれてよかったかも」  蔵之介は理由が分かり、ビアンカの背中を優しくぽんぽんと叩いた。 ビアンカはためらい少し黙ってから口を開いた。 「君の中を僕にゆだねて欲しい。子供を作れば君とのつながりが生まれる。蔵之介がそれで少しでも僕との繋がりを感じてくれるなら、生贄の役割としてだけではなく。蔵之介を愛したい」 ビアンカはそういうと、蔵之介の体を倒し再び唇を重ねた。 「んっ」 ビアンカの手が蔵之介の服をはだけさせ、胸元が露になる。腰ひもを緩め、蔵之介の服を全てはだけさせた。 蔵之介はピクリと体を震わせる。

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