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92話
蔵之介の一挙一動を思い出し、全てが自分を好きだったからだと思うと全てが尊く感じた。
「いつから僕を好きになったの?」
ビアンカは蔵之介の顔をのぞき込む。
「そんなの、分かんないよ。最初からかもしれないし、一緒にいるうちに好きになっていった気もするし」
蔵之介はビアンカを見つめ返した。
「ビアンカは?どうして俺を好きになったの?」
そもそも本当に好いてくれてるのだろうか?そう心をよぎるがビアンカはほほ笑み唇を重ね。何度もキスをしてきた。蔵之介は求めるようにビアンカの首に腕を回し抱き寄せる。
「僕はずっと蔵之介を好きだったよ。蔵之介がここに来る前から」
「え?」
ここに来る前から?以前に会ったことがあるという事なのだろうか?蜘蛛との思い出は海を飼っていた記憶と、あったのかどうか分からない巨大な蜘蛛との思い出。
ビアンカは身をずらし体に口づけ、蔵之介の体を撫でた。撫でられる度に柔らかい糸が体を包んでいく。それは暖かく、常に全身を抱かれている感覚。全てを性感帯にされた様だった。
ビアンカは全身へのマッサージを終え、蔵之介の足を持ち上げた。
全身にははっきりと見えないくらい細い透明な糸が張り巡らされ、光が反射し、キラキラと光る。
蔵之介はそれをただ綺麗だと思い見つめていた。後ろの蕾が指で開かれていく。ビアンカの指が中を広げていくのを蔵之介は唇をかみしめ、受け入れた。
「あっんんっ」
「苦しいか?」
ビアンカはゆっくりと指を動かす。中を丁寧にこねられ腰をくねらせる。
「いえ、気持ちいいです」
蔵之介の顔は赤く、息が上がっている。ある一点をこすると蔵之介は強くあえぎ声を上げ腰を反らせた。
「ここが良いのか。あまり動かないでくれ、どこが良かったのか分からなくなる」
「ひぅっ!」
「ここか」
ビアンカは蔵之介の反応を見ながら快楽を与えていった。体にキスを落とし、我もの扱うかの様に体を撫でた。
蔵之介は両手を震わせ、ビアンカの背に手を伸ばそうと肩を掴んだ。
ビアンカはそれに気付き微笑む。蔵之介は
「欲しい、もっと……」
と呟くと、目の前に白い糸が舞った。
しかし、それは糸ではない。
ビアンカの髪の毛だった。蔵之介の上に覆いかぶさり、唇を重ねる。
舌を絡ませると、蔵之介の体がビクリと弾けたように動いた。
「子種が欲しいか?」
ビアンカが聞くと蔵之介は潤んだ目で見つめ頷いた。
「欲しい。ビアンカのが欲しい。ビアンカとずっと繋がってたい」
「なら強い子が産めるな?」
強い子供……それを産むのが生贄としての役割。そしてビアンカが求めていること。
「うん」
強い子が産めるかなんてわからない。けど、ビアンカの為ならできる事はやりたい。
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