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116話
「気持ちよかった」
ビアンカは余韻に浸り蔵之介を抱きしめた。蔵之介は嬉しくなりビアンカの頬にキスをする。
「唇にはしないのか?」
ビアンカが聞くと蔵之介は恥かしそうに一度目をそらすが、再びビアンカの顔を見て唇にそっと唇を触れさせた。ゆっくり唇が離れ、ビアンカと目が合うと蔵之介は顔を真っ赤にして、ビアンカの胸に顔をうずめる。
「恥かしいから見ないで……」
「蔵之介はかわいいな」
ビアンカは蔵之介の頭を撫でた。
蔵之介の頭にキスを返すと、蔵之介は嬉しそうに「ふふふ」と笑う。
ビアンカといるのが幸せで、幸せで、蔵之介はこのまま溶けてしまいたいとすら思っていた。
ビアンカは精液のついた蔵之介の服を脱がせ、自分の着ている服を脱いだ。
そして蔵之介を優しく抱きしめ眠ろうとすると蔵之介はなにかを思い出したかのように顔を上げた。
「あ、ビアンカ」
「どうした?」
ビアンカは目を閉じたまま答える
「ヴィンター師が昨日頬にまだ傷があるって言ってたんだ」
「頬に?」
ビアンカは蔵之介の両頬を確認するが見た目では綺麗に治っている。
「そうか、ヴィンター師がいうなら何かあるのかもしれない。糸を張っておこう」
「うん、あとこれ、ビアンカにも誰にも言ってなかったんだけど。前にバードイートに襲われた時、両足を強く引っ張られたんだ。そのせいか足の付け根あたりに少し違和感があって、ヴィンター師がそれもビアンカに治してもらった方が良いって」
「違和感?痛むのか?」
ビアンカは驚き起き上がる。
「そんな変なものじゃないんだけど、今までとなにか違うような気がして」
「……」
ビアンカは黙って蔵之介の股関節に触れ撫でた。
「骨のことなら詳しい医師が居る、一度見て貰って、位置があってるか確認してから糸を巻いた方がいい。ズレたまま糸を巻くとそのままで回復してしまう。そうすると違和感が残ったままになってしまうかもしれない。すぐに見てもらおう」
ビアンカは布団をどけた。
「え、明日でも良いよ」
「駄目だ、ピー、聞いてたか?医師をすぐ呼んでくれ」
「はい」
ピーの返事が聞こえる。返事のあと、ドアを出ていく音が聞こえた。
分かってはいるけど、やはり部屋の中にいて音を聞かれているのは恥かしい。急に意識が現実に引き戻され蔵之介は掛け布団を引き上げ体を隠した。
「ゼノス、蔵之介の体を拭いてあげて。僕はシャワーを浴びてくる」
「はい」
とゼノスの声が聞こる。ゼノスは準備をしてベッドに歩み寄ってきた。
「蔵之介様布団をどけて貰えますか?」
「今は、恥ずかしいから」
事後直後の体を見られるなんて考えていなかった。乳首もまだたてるし、体も火照ってるし、匂いだって、またキスマークとかもついてるかもしれないし。
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