119 / 204

117話

「大丈夫です。私は毎日蔵之介様の体を見ていますから」  ゼノスは蔵之介の布団を引っ張り弾き剥がそうとする。 「まって、心の準備が出来てないから!」 「心の準備はいりません。体の準備をしておかないと医者にそのままの体を見せることになりますよ」 ゼノスに言われ「うーん」と蔵之介は唸った。事後の体をそのまま赤の他人に見られる。それはゼノスに見られるより恥かしいのは確かだ。  蔵之介はしぶしぶ布団をどけた。  体を拭いてもらい新しい寝間着と下着を着せてもらった。  シワだらけにベッドのシーツも、新しいものにゼノスがかえていた。  ビアンカは数分も経たぬうちに寝間着姿で戻ってきた。 「蔵之介、横になってて良いよ」 「うん」  蔵之介は横になると、部屋のドアがノックされた。  ピーの声が聞こえ、ゼノスがドアを開くとピーと医師が入ってきた。 「ビアンカ様、医師をお連れしました」 「夜遅くにすまない、蔵之介が股関節に違和感があると言っているんだ。バードイートに強く足を開かれたらしい。ズレていないか見てやってくれ」  医師は黙って頷き、横になっている蔵之介のを頭から足の先まで見た。 「服を脱いでもらってもよろしですか?」  医師は、ビアンカに確認してビアンカは頷いた。 「蔵之介、脱いでもらってもいいか?」  蔵之介は頷き起き上がった。寝間着を取りパンツ一枚の姿になる。  医師の指示で立ったり座ったり、寝転がって足を動かされ確認された。 「大きな問題はありません、少し骨盤が左右ズレているのでそこを調整いたします」  医師が言って蔵之介の骨盤をゆすったり押したりして調整していた。  再び寝転がったまま足を動かされる。 「あ、治ったかも」  蔵之介が思わず言った。 「左右とも違和感はありませんか?」 「うん、大丈夫」  蔵之介はやっと違和感から解放され、安心したように言う。 「骨盤の方に治癒糸を巻いても大丈夫か?」 「はい、問題ありません。蔵之介様、他に体に違和感がある場所はありませんか?よろしければ他も見てみますが」 「違和感はないけど、見てもらう事ってできる?」 「はい」  一通り見てもらいマッサージもうけると、体の血流が全体的によくなり体がほてっていた。 「全身の関節の動きがスムーズになった気がする」  蔵之介は言いながら肩をまわした。 「あまり体を動かされていませんか?筋力も少し衰えているように感じます。お気を付けください」  医師に言われ返す言葉もなかった。ここに来てから、運動なんてほぼしていない。この前のヴィンター師の家へ向かう道もキーパーに助けてもらい、お腹も太腿も軽くつまめる。 「明日から運動頑張ります……」  蔵之介は落ち込み気味に言った。

ともだちにシェアしよう!