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128話
一通り城の中の飾りを見終ると部屋に戻った。
その頃には海も戻ってきた。
「酷い目にあった……」
海は嘆くように言った。
「何かされたの?」
部屋のソファーで海は嘆いていた。蔵之介が問うと海は
「いや、閉じ込められただけだけどさ。一時間もだぞ。あんな生臭いところで」
と海はため息をついた。
「それに俺は一人で閉じこもってるのが嫌いなの」
海は言って蔵之介を見た。
「プレゼントは見たか?」
「んーん、ビアンカが持っていった。後で見せるって言ってたから中身は確認したんじゃないかと思うけど。ビアンカって透視能力とかあるの?」
「そんな話は聞いたことないですが]
ゼノスが答えた。
「はったりだろ」
海は不機嫌そうにソファーに寝転がった。
「それより、プレゼント取られたんだから少しは怒れよ」
海に言われ、
「あー、うん、確かに……」
「蔵之介様はあまり怒らないですよね。なぜですか?」
ゼノスに聞かれ蔵之介は考える。
「なぜって聞かれると困るけど、なんか俺が怒ってもどうにもならないかなって思って」
「そんなことないだろ」
海は言った。
「親に蔵之介は理不尽な事言われすぎてるんだよ。俺が蔵之介の母親噛んだ時も、部屋で寝てたからって怒られてただろ」
「……うん」
蔵之介はうつむき頷いた。
「なんで部屋で寝てると怒られるんですか?寝てはいけない時間だったんですか?」
「違うよ、ただ母親の虫の居所が悪くて、適当な難癖付けて怒ってたんだよ」
海が言うと、蔵之介は目からぽろぽろと涙をこぼした。
「え、おい、蔵之介?泣くなって」
海は慌てて起き上がり蔵之介の横に座った。ゼノスはタオルを持ってきて蔵之介の反対側に座る。
「ごめん、今まで普通だと思ってたこと。理不尽って言われて、安心しちゃて」
蔵之介はゼノスからタオルを受け取ると顔に押し当てた。
「ずっと我慢してたから。俺が変なのかもって。俺が駄目だから、母さんは怒ってるんだって……思って」
「そんな事ないです。蔵之介様は優しくていろんなことができます」
ゼノスがいうと蔵之介は鼻を啜って泣きだした。海が蔵之介の肩を抱き寄せると蔵之介は海の肩に寄り掛かる。
「お前は何をしたって、何もしなくたってあんな黙って怒られてる義務なんてないんだよ」
蔵之介は声がのどに詰まっているのか、声を上げず。ただ苦しそうに涙を流していた。
ゼノスが心配そうに蔵之介の腰を抱きしめ寄り添った。
昼間はひと出入りがおおく、外が騒がしくなった。
蔵之介は泣きすぎて目をはらしていたため、少し目を冷やそうと外に出て海に抱えられ屋根の上に登った。
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