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131話 催眠
「今日は蔵之介様へのプレゼントが沢山届いてると思いますよ」
ゼノスが蔵之介を見て言う。
「そうなの?」
「はい、今日ここに来る半数は蔵之介様との子供を授かる為です。一度でも交われれば、強い子孫が多く残せます。多く残ればそこからまた強い子孫が残せますから。それを求める人にとってはこういう城への出入りが許される日は別の意味で特別な日なんです」
「まあ、あんまり期待はしない方が良いぞ。プレゼントって言ってもツボとか、ジュータンとかだし。王に取り入ろうとするものが多いから、どちらかと言うと王へのプレゼントだよ」
「そっか」
蔵之介は手すりに腕を置いてその上に顎を置いた。キラキラとひかるイルミネーションを眺めているとうとうとし始めた。遠くで流れていた曲が止まり、一度世界から音がなくなったかのように静まり返った。
「あー駄目だ。寝ちゃいそう」
蔵之介は目を擦った。横を見ると海とゼノスが倒れている。
「え、海?ゼノス!?」
慌ててゼノスの上半身を抱き上げるが寝ているようで、寝息を立てていた。海も同じようだ。まわりを見ると奇妙なくらい静かなことに気付いた。
「どうしよう」
蔵之介はゼノスの頬を軽く手のひらでたたいた。
「ゼノス、ゼノス」
何度か呼びかけるとゼノスは目を開く。
「蔵之介様……」
ゼノスはぼんやり目を開いた。そしてハッとして目を覚ます。
「私は何を?」
ゼノスは状況を見て、蔵之介の部屋のドアを開けた。
「中へ」
「海も入れよう」
蔵之介は海の上半身を持ち上げ引きずり、部屋の中に入った。
中へ入るとゼノスは部屋のドアと窓に糸を張った。
「海!海!起きて!!」
海の体をゆするが、海は起きなかった。
「なんで?」
ゼノスはふらつきながら蔵之介の所に来て膝をついた。
「すみません、私も、もう」
ゼノスも必死に堪えているが寝そうだった。
「そんな……」
どうして俺だけ平気なんだろう。
恐くなり首元のマフラーを掴んで顔うずめた。
そこではっとして、蔵之介は手袋をしたまま海とゼノスの顔に手を触れた。
すると二人とも目を覚ました。
「あれ?」
海は身を起こし何事かと辺りを見回した。
「蔵之介様」
ゼノスは混乱して居た。蔵之介はゼノスを抱き寄せマフラーに触れさせると、手袋を取った。
「海これして」
と蔵之介は手袋を外して海に渡した。
「なんでだよ」
至極もっともな質問だ。ビアンカの手作りの手袋なんて海にとっては必要のないものだ。
「なんか変なんだ。二人とも急に眠っちゃって、外もすごく静かになってる。俺は起きていられて、ゼノスと海は手袋触れたら目が覚めたんだ。帽子とマフラーと手袋にはビアンカの治癒糸が編み込まれてるから、それで回復したんだと思う。何かが原因で眠らされてるんだよ」
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