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134話 ビアンカと似た男

 ビアンカは蔵之介の頭を撫でて立ち上がる。蔵之介は慌ててビアンカの服の袖を掴んだ。 「部屋の中にはもう何もいない?」  先ほど耳元で聞こえたビアンカの声が耳に残っていた。そのせいか、バードイートの時の事を思い出し、部屋にいるのが恐かった。 「僕の部屋へ送ろう、そこなら安全だ、三人で待っていてくれ。」  ビアンカはそういった後少し黙って海とゼノスを見た。そして蔵之介に目を向ける。 「あとすまないが、その帽子と手袋を貸して貰えるか?」 「良いけど何かに使うの?」  ビアンカが言うと蔵之介は海とゼノスから手袋と帽子を受け取った。蔵之介はビアンカに渡そうとしたが、ピーが近付いてきたので、それをピーに渡した。 「すみません、今日の来客が全員眠らされています。ビアンカ様が出せる治癒糸ではカバーしきれません。他の物の糸も使い、以前使った物でまだ使えるものも使用しますが、間に合うかどうか……。最近ビアンカ様も糸を出すことが多く、無理もさせられません」 「そっか、なら俺の編んだマフラーも使って。これも」  と蔵之介はビアンカに貰ったマフラーを外そうとしたがビアンカに止められる。 「ありがとう蔵之介。蔵之介にもらったマフラーも使わせてもらう。しかしそれだけは持っていてくれ。それは蔵之介の身を守れるものだ。今後も何かあった時に役に立つはずだ。」  真剣な面持ちのビアンカに蔵之介は頷いた。 「蔵之介のマフラーがあって助かった。よかったらまた来年も編んで欲しい」 「うん」  一行はビアンカの部屋へと向かい、ビアンカは来客の対応へと向かった。 「ビアンカ王とイルミネーションは見れなさそうですね。」  ゼノスが窓の外を見ながら言った。  蔵之介は頷く。 「そうだね。でも仕方ないよ、あんなことがあったら。でもビアンカに似たあの人は誰だったんだろう」  蔵之介はマフラーを首元でもふもふと揉みこんでいた。ビアンカの編んだマフラーは蔵之介が編んだものより柔らかく肌触りも良いのでつい触ってしまっていた。 「疑似化するにも似すぎていたな。声、見た目だけじゃなくて気迫もビアンカに近いものがあった。相当な能力を持ってるんじゃないか?兄弟にしても似すぎてる。見た目が変装でなければ双子か?」  海は戦いのさなか見ていた光景を思い出し、考察する。 「ビアンカ王は“ワイト”と読んでいらっしゃいましたが。兄弟は多いと思うのでその可能性はありそうですけど。双子という話はきいたことがありません」

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