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135話
「んー」
と蔵之介はのどを鳴らした。枕を抱きしめながらベッドに仰向けに寝転がった。
部屋で聞いたビアンカの声。何度思い返しても今まで日々聞いてきたビアンカの声だった。
声と姿を似せるなんてファンタジーではよくある設定だ。兄弟や双子も。あとは、
「影みたいな?」
「影?」
ゼノスは首を傾げた。
「想像だけど、最大の敵は自分みたいなやつ」
蔵之介が言って、海もゼノスもよくわからないとでもいう様に顔を見合わせた。
「あ……、ごめん今の忘れて」
蔵之介は顔を赤くして枕で顔を隠した。
「まあ、それは本人から聞くのが性格だし、あとで聞いてみよう」
海はそういって立ち上がった。
「ちょっと外の様子を見てくる」
ゼノスは不安そうに海を見た。
「大丈夫だ、キーパーが起きてるか確認したらすぐに戻ってくる。そろそろ城の者たちは目を覚ましてるだろう」
「分かりました、気を付けてください」
ゼノスが言うと海は警戒しながらドアを開けて出ていった。
真夜中、ビアンカはやっと戻ってきた。部屋の中は暗く蔵之介はビアンカのベッドで眠っていたが、物音で目が覚め起き上がった。
ビアンカはベッドのカーテンを少し開き、蔵之介が起きてるのを見てほほ笑んだ。
「起こしたか?」
「んーん、ぐっすり眠れてなかっただけ。もう平気なの?」
「ああ、シャワーを浴びてくるよ」
ビアンカはベッドのカーテンを閉めた。
足音が風呂場の方へ向かっていく。
「じゃあ、ビアンカも戻ってきたし俺はそろそろヴィンター師の所に帰るよ。また明日来る」
カーテン越しに海の声が聞こえた。
「うん、遅くまでありがとう」
「ビアンカが出てくるまでは、部屋のドアを開けるなよ」
海はそう言って出ていった。
蔵之介はそっとベッドを出て戸惑いながら風呂場へのドアを開けた。ゼノスが蔵之介の元に行こうとすると、蔵之介はそれに気付き手のひらを向け止めた。
脱衣場に入り、浴室のドアを少し開けた。
「ビアンカ」
蔵之介の声にビアンカは顔を上げた。
「どうした?」
「一緒に入ってもいい?」
蔵之介が聞くと、ビアンカはほほ笑んだ。
「構わないよ。ピー、あとは自分でやる」
ピーは頷き、手足についた泡を洗い流して浴室を出た。ビアンカは立ち上がり、蔵之介のおでこにキスをして服を脱がせた。蔵之介はビアンカに手を引かれ浴室へ入る。
ビアンカに体と頭を洗ってもらい、湯船でビアンカを待った。
ビアンカも全身を洗い終わると蔵之介の後ろにまわり、一緒に湯船につかった。
蔵之介はビアンカに後ろから抱きしめられ、寄り掛かるとすごく安心できる。
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