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137話

 蔵之介が心配になりゼノスに聞くが、ゼノスもそう思っているのか困ったように言う 「ビアンカ王が他の人には任せられないとご自身で分別されたとのことです。昨晩と、今朝起きてからでかなり時間がかかった様です」 「大変だね」  相変わらず自分は何の役にも立ってないと思い、うつむいた。  危険物がない事はビアンカにより確認済みでも、いざというときの為にとゼノスがひとつひとつ開けて蔵之介に中身を見せていく。  なんだかよくわからないアイテム、本、置物、ツボ、宝石、他いろいろ。  マフラーや手袋もあり、ゼノスがそれをみていた。 「これはもらっても構いませんがビアンカ王の作ったもの以外着てはいけませんよ」 「なんで?」  蔵之介が聞きながらのぞき込む。 「その糸が何で作られたか分かりませんから」 「何でって、糸以外に何があるの?」 「まれに何か呪いのかけられた糸で編まれていることがあるんです。そういうものですと、つけたら取れなくなるとか……」  ゼノスが言った瞬間マフラーがゼノスの首に巻きついた。 「ゼノス!?」  首が徐々に強く閉まりぎちぎちと音を立てた。蔵之介が外そうとするが、堅く閉められ外せる余裕がなかった。  ゼノスは首がしまり、声も出せずに苦しそうにかすれた声をだし、目から涙がこぼれた。 「どうしよう」  蔵之介はまわりを見ると、ビアンカに貰ったマフラーが目に入る。それを手に取ってゼノスの首に巻きつけた。するとゼノスは息を吐き出し咳込んだ。 「ゼノス、ゼノス!」  蔵之介は目に涙を浮かべて呼びかけるが、ゼノスはその場に倒れた。  突然部屋のドアが開きビアンカが入ってきた。 「何があった?」 「ゼノスが」  蔵之介は涙がこぼれぬぐった。  ピーが歩み寄り、確認する。 「大丈夫です、息はあります。」 「マフラーがゼノスの首を絞めようとしたんだ。ビアンカのマフラーを上から巻いたら息が戻ったみたいで」  蔵之介が言うとビアンカは確認する。開けられた箱を見るとバツマークが書かれていた。 「誰がここに運んだ?」  ビアンカはピーに問う。だれかが意図的にまぎれさせた可能性があるとビアンカはピーに指示して運んだ者を探させた。  ビアンカはゼノスの首にまきついたマフラーを見て眉を寄せた。マフラーはマフラーと呼べる形を保っておらず、鉄の首輪の様に堅くなっていた。  ビアンカは一呼吸して、ゼノスの胸元に手を当てそこから糸をゼノスの体に這わせ首元に糸を伸ばした。  どうなるのかと蔵之介は落ち着かず見ていたが、突然ピキッと何かが折れる様な音がして、首が左右に割れゼノスの首から外れた。

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