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140話 蔵之介を狙う者

 蔵之介が座学で授業を受けていると、隣に座っていた海が何かに気付いて立ち上がった。  向かった先にはピーが立っていて、何かを少し話して戻って来ると再び隣に座った。 「どうしたの?」 「ん?プレゼントを運んだ奴と、プレゼントの送り主が判明したって。捕らえているけどまだ城の中に居て裁判中だから一応気をつけろってさ」  プレゼントを意図的に運んだ者がいたのかと蔵之介は手を握りしめた。人間と同じく悪意のあるものがこの世界にもいる。  それは分かり切った事だけど、事が重なると身の危険を感じざる負えない。  午前中の授業を終え、部屋に戻るがゼノスは意識が戻らずまだベッドで寝ていた。 「ビアンカに言いに行こう。このままだと心配だし」 「ああ、首の傷は回復してるみたいだから問題はなさそうだが、報告だけはしておこう。多分回復の為に治癒糸が体によけいな負担を増やさない様寝させてるんだ。薬でもよくある副作用だよ」  海はゼノスのマフラーをすこしずらし、覗いた。事件直後は首は内出血とえぐれたせいで真っ赤に染まり痛々しかったが、今は赤みも引き傷もふさがっていた。  海とビアンカがいると思われる王広間に向かった。  そこでは裁判が行われていて、既に処罰が決まった犯人は後ろ手を拘束され連れ出されようとしていた。  蔵之介はかなり遠くからだが、その姿を見送った。 「あの人がプレゼントを運んだ人?」 「だろうな」  海に聞くと軽く肩に海の手が触れた。  それとほぼ同時にビアンカが蔵之介の方へ一瞬目を向けた。  犯人の男はそれに気づき、ビアンカの見た方を見る。そこに居る蔵之介が目に入ったとたん、興奮したように息を荒げた。 「くそ、お前が居るから!お前さえいなければ!!!」  男は叫ぶと皮膚が割け手首の拘束も解けた。それは一際でかい蜘蛛の姿になり、瞬時に蔵之介の元へ走り突っ込んだ。  迫りくる蜘蛛に蔵之介は身を震わせ海は、蔵之介を抱え天井へと飛んだ。 「あ、うわぁ!」  蔵之介は蜘蛛の恐怖と、高さへの恐怖で叫び、海の服を引っ張た。 「蔵之介、暴れるな」  恐怖で混乱する蔵之介の元へビアンカが飛び空中で海から奪い、床へ着地した。 海も少し離れたところに着地する。蔵之介を抱きしめ、蔵之介もビアンカの首に抱き着いているのを見て海は、軽く舌打ちをした。 「蔵之介。もう大丈夫だ」 「やだ、高いの嫌だ」  蔵之介はビアンカの首元に顔をこすりつける。まるで子供の様な蔵之介の頭をビアンカは撫でほほ笑んだ。

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