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147話
今では体調がいいときにだけ座学へ足補運び、それ以外は部屋で安静に過ごしていた。お腹に子供が何人もいる、それを考えるとこの体の重さも理解できる。
海と走り回っていたかいがあって、体力も筋力もあるせいか生活はそれほど苦でもなかった。それが無かったら今頃起き上がる事も出来なかったかもしれない。
「本でも読みましょうか?」
「うん、読んで」
ゼノスに言われ、蔵之介は嬉しそうに頷いた。
ここにある創作された本は全てがファンタジーの様に感じら面白かった。海は蔵之介が外に出ない日は、部屋の隅で筋トレをして過ごしていた。そのためにスペースも蔵之介が用意して、海が筋トレ用の道具を置いていた。蔵之介は海が居るだけで心強かった。
さらに2週間ほど経つとお腹はさらに膨らんでいた。
「お腹が重い……腰痛い……」
何人お腹に居るのか分からないけど、お腹がかなり重くなってきていた。10人とヴィンター師は言っていたが
お腹を抱えて座っているのがやっとだった。
「これいつ生まれるの?」
蔵之介が聞くとゼノスは蔵之介の腰をさすりながら答える。
「種類や時期によって違いますが、母体のお腹が窮屈になると出産が始まる場合もあります」
「母体って、前の人もやってたんだよね?その時はどうしてたの?何人くらい産まれてくるものなの?」
腕と頭をベッドにあづけ座り、ただゼノスに腰をさすってもらうのが蔵之介には楽だった。
「はっきりとはわかりませんが、最大95人の子供を生んだことがあるようです。その時は子供が育ち切らず出てきてしまったので、生き残れる個体のみが残りました。その人数でも87人は生存したようです。その子供たちは母体から出た後は父親の治癒糸の中で過ごし、子供がスリングの状態になるまで監視のもと成長を待ちます」
「95人……想像もできないよ。それに生んだのに死んじゃうなんて」
苦労して産んでも生き残れない。自然の掟とはいえ、悲しい。
「じゃあ10人くらいならなんとかなるものかな?」
「大丈夫だと思います。蜘蛛同士でも好んで同じように愛する人の中に卵のうを作る行為をし、出産をするものが居ます」
蔵之介は頭を上げ、頭だけゼノスに向けた。
「産む苦しみが必要ないのにわざわざ出産するの?」
「はい。多分人間の本能的なものなのではないかと研究させれてます。それを味わい子供を育てる方が愛情が持てると言う方が一定数いらっしゃいます」
「そっか、好きなもの同士なら交わりたくなるんだね。ビアンカも俺に触られるのは好きみたいだし」
蔵之介はお腹をさすってため息をついた。不満があったり、嫌というわけではない。ただお腹が苦しくため息が出てしまう。蔵之介はベッドに寄り掛かかり目を閉じた。
「辛いですか?」
「うーん、なんかけだるい」
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