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167話
「それ以前に別の人間に依頼し、蔵之介が生贄になる様にビアンカ王は手を回していたんです。その一人に村田という男が居ます。彼は元々バードイートの一味でした。しかしリーダーが変わり性に合わないと当時王でもないビアンカ王に相談に来られました。そしてビアンカ王は人間界に行くよう指示され、その上で管理の位置に回れる役所の仕事につかせました。そして上手く根回ししたんです。蔵之介様が元々住んでいた都内にもビアンカ王の指示で動く一族の者が居ます。いじめ自体はビアンカ王の指示ではないですが、それを使って引っ越しを促し、引っ越し先をこの付近になるよう手配しました。
彼らが引っ越したのは、そもそもがお金の為だったんです。引っ越し子供を差し出せば役所の人間からお金が入ると。母親に内密に情報を流したら、母親は話に乗り引っ越したんです。元々軽薄で薄情な方でした。蔵之介様にも興味がない方だったそうです。そんな人間の元に居たら蔵之介はいつになっても幸せになれない。ビアンカ様はそういって自分のもとに来るように誘導しました」
ピーはそこまで言うと一度ビアンカの方へ目を向ける。
「そして生贄と差し出され蔵之介様は今ここにいます。貴方がここに来たのは想定外だったそうですが。
これは私もビアンカ王が王になってから知った話です。全ておひとりで手を回しておりました。むしろ他の人間に指示を出していたらここまで厳密に蔵之介様を誘導することはできなかったでしょう。私には人間界のルールはよくわかりませんから」
ピーはそこまで言うと腕を組み、海を見据えた。
「そして、その後不思議なことにその母親から小切手を盗んだ者が居たそうです。そしてその犯人が誰なのかは特定されています」
ピーが言うと、海は眉を寄せピーを睨んだ。
「そんな事するのは誰なんだ?」
「青い服を来た青い髪の男です。防犯カメラに映っていています。汚いお金な為被害届は出されていないそうです。なので捕まることもない。それにあたなは今ここにいて、毎日買い物に行くにしても短時間。毎日行く場所をかえていれば捜索されていても捕まりようもありません。本当に上手い逃げ方です」
ピーが言うと海は合わせる顔がないという様に顔を逸らした。直接的に海が犯人とは言わないにせよ、犯人は確定だった。
「良いだろ、あれは蔵之介の為に支払われた金だ。俺はその金を蔵之介の為にしか使ってないしこれからも使う気はない。ビアンカの食費にもなってるけどそれは蔵之介の望みでもあるから、俺もしぶしぶ買うしかなかった」
海は不満そうに漏らす。
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