10 / 38

第10話

光は店長と上手くいっているのだろう。 自分も早くいい人を見つけないと。 光を抱ける、タチなりリバなら良かったんだろうが、もう遅い。 光から連絡がなくなり、晶からも連絡を控えた。 部屋でゴロゴロしていたら不意にインターフォンが鳴った。 「...光」 久しぶりの光の姿があった。 「上がるよ」 「うん....」 光は暫し無言で、晶も口を閉ざした。 「...店長を好きになっても無駄だよ」 晶は唇を噛んだ。 「....そんなの言われなくってもわかってるよ、お前から奪おうなんて思ってなんかない」 「.....俺?」 光が素っ頓狂な声で目を丸くした。 「つ、付き合ってんだろ、店長と....」 光が爆笑した。 「俺が店長と!?そんな馬鹿な」 「だ、だって、いつも店長と帰ってるみたいだったし、仲も良さそうだし....」 俯き、心無しか声が細くなっていく。 「だって、店長に相談、乗って貰ってたんだもん、店長、イタリア人の恋人、ていうか同性婚しててさ、先輩だから、ゲイの」 「ど、同性婚....!?」 「もう結婚して5年なんだよ、今は日本とイタリアで遠距離なんだけど、凄く仲良くて、良く互いに行き来もしてるんだ」 「そうなんだ....でも、相談、てなんの」 「....お前のこと」 「....俺?」 光が頷いた。 「ネコ同士の恋愛、て成立するのか、て。でも、お前、いっつも、店長見てるし」 「ち、違うよ、店長といるお前を見てた、仲良いから...てっきりデキてるのかと....」 俯いていた晶に光が顔を寄せた。 気配に気づくと優しいキスをされた。

ともだちにシェアしよう!