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第17話

目が覚めた晶は酔っていた為、前日の自分の状況をよく覚えていなかった。 ただ、光に叱られたような...そんな記憶が残っている。 光はある決意をしていた。 シャワーを浴び終え、首にタオルを掛けたまま、膝を抱えて隣に座り、テレビを見ている晶の横顔を眺める。 「晶」 「うん?」 テレビに目を向けたまま、晶が答える。 「しよっか」 「なにを?」 「エッチ」 途端に晶が光を目を丸くし向いた。 「エッチ?あー、シックスナイン?いいよ」 にこっと晶が可愛い笑顔を見せる。 「違う」 「違うの?なに?」 「入れるんだよ」 「入れる?」 晶が首を傾げ見つめた。 「だから、ちんこだよ」 その瞬間、晶の顔が曇った。 「...すぐ、ちんこちんこ...て、....え」 「ちんこ以外になんて言うんだよ」 「えーっ、えーっと....」 晶が突然振られ、視線が宙を舞い、真っ赤になった。 「お、おちんちん...とか...」 「おちんちん、の方がずっとエロくない?」 「ちんこ、てなんか下品、それに愛を感じない」 思わず光は吹き出した。 「晶、お前、ちんこに愛を感じるの?」 しまった、と晶は両手で顔を覆った。 「じゃあ...俺のちんこにも愛を感じるの?俺自身には?」 「言葉の誤りでした、すみません、おちんちんに愛は感じません」 両手で顔を隠したまま、恥ずかしそうに晶が訂正した。 「じゃ、頑張ってみるよ、晶の愛するちんこで晶を愛せるように」 晶がゆっくり顔を覆っていた両手を下ろした。 「...それって...どういう....?」 「だから!お前に侵入を試みよう!てこと!俺のちんこで!」 晶が顔から火が吹き出しそうな程、真っ赤になっている。 「ひ、光の、ち、ちんこで、お、俺に侵入....?」 「そ。簡単に言えば、セックス!」 「最初からそう言ってよね!こっちがどんだけ恥ずかしいか....て、出来るの?」 「わかんない。やったことはないけど、物は試しじゃん?」 不安そうに晶が光を見つめる。 「要は自分がされてるようにすればいい訳だし」 「....されてるように?」 凍てついた声に、光は、え?と呑気な声が出た。 「されてる、て、何処かで誰かにされてるの....?」 珍しく晶の強面な声にビクリ、とし、慌てて首をぶんぶん横に振る。 「....本当に?」 「してない!する訳ないだろ!昨日だって、俺もやんなかったし...お前はやる気満々だったけど」 「....嘘」 思わず、晶は自分の口を押さえた。 「ほんと。裕一さんに股開いて、切ない顔して、入れて、て懇願してた」 「え、う、嘘!覚えてない!」 「かなり酔ってたしな」 「....それで....俺、裕一さんとやったの....?」 「やってない。嫉妬したから、俺がやめさせた」 晶がホッと胸を撫で下ろした。 「...ありがとう、光」 「やりたかったんじゃなかったの?」 「まさか!酔ってて覚えてないけど、光が大輝さんとイチャイチャしてたから、俺、ムカついて酒飲みまくったんだもん!」 晶に捲し立てられ、今度は光が首を傾げた。 「イチャイチャ....?」 「してたじゃん!大輝さんに肩抱かれて嬉しそうにしててさ!いい雰囲気でイチャイチャしてた!」 ぷくっ、と晶が頬を膨らませ、光を睨みつけた。 「してないよ!そう見えただけじゃない!?」 「....そうなの?」 「うん」 「....良かったあ」 晶がようやく、安堵したのか笑顔を見せ、光も晶も晶で嫉妬してたのか、と安心し、口元が綻んだ。

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