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第20話

折り重なったままの長い沈黙の後、光は吹き出し、笑った。 「な、なにがおかしいんだよ」 「俺が晶を抱くつもりだったのに、何故か俺が抱かれちゃった」 急に晶も我に返ると恥ずかしくなった。 「ご、ごめんね。痛くなかった?」 「ううん、全然。気持ち良かった」 「....そっか、良かった」 光の笑顔に晶も安堵の笑顔が浮かぶ。 「それに....」 「なに?」 そこまで言うと、照れくさそうに光は晶の肩に額を押し付け、表情を隠した。 「.....俺のこと、好きでいてくれてるんだなあ、て感じがして....凄く嬉しかった」 「当たり前じゃん。光は知らないけど、俺、光のこと、大好きだもん。元々、嫉妬深いとこあるけど....ごめんね、勝手に嫉妬、ぶつけた」 ううん、と光は首を横に振った。 「すっごい嬉しい。俺、いつも浮気相手専門だったからさ....本気で好きになって貰える、て、本命になれる、て凄く憧れだったから....」 確かに光はいつも本命がいる相手に言い寄られ、自分が浮気だと知り傷つく恋愛ばかりしてきた事は聞いていた。 晶は自分は本命だったが、浮気され、自ら好きだった相手を振る恋愛を続けてきた。 「....光は俺の本命だよ。でも、覚悟してね、かなり嫉妬深いから」 「うん。晶ももう、心配しなくていいからね。俺、浮気とか大嫌いだから」 見つめ合うと深い口付けを交わした。

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