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第23話

一旦、自宅に戻り、服やある程度の生活必需品を互いに纏める作業に追われた。 「あー、どうしようか?店から歩ける距離ではあるけど、ここからだとまあまあ距離もあるし荷物もあるし、タクシーで向かおうか?」 「....そうは言っても俺は部屋知らないし、光に任せるよ」 光と店長との内緒話しのようで、荷物を整理する晶は些か不機嫌なのだが、光は光で晶を守れる、と意気揚々で気がついてはいない。 タクシーを呼び、荷物はトランクに乗せて貰い、店長と店長の旦那のイタリア人のマフィが逢瀬の為に借りているというマンションに向かった。 自分たちのアパートとはうんでんの差の豪華なマンションを見上げ、晶は目を丸くした。 「....一体、幾らするんだろ」 「さあ、家賃までは聞いた事ないけど。行こ、晶」 光が笑顔で晶を見ると、広いエントランスを抜け、オートロックを解除し、広いロビーを通り過ぎた先のエレベーターに乗り込み、光は12階のボタンを押した。 「12階....」 「うん」 光は上を向き、階が上がる点滅のランプを眺めている。 そんな光を訝しげにはたまた、睨むかのように見つめている晶の視線に、光は一向に気づかない。 エレベーターの扉が開き、晶を誘導するように光は歩き、一室のドアに鍵を差し込んだ。 ドアを開け、電気を付けると、カウンターキッチンに広いリビング、装飾は華やかというより洗練されているといっていい。 12階ともあり、窓からの景色もこれまた絶景だった。 「夜景、綺麗だよね」 隣に並んだ光が夜景に笑顔を見せる。 「....どうして、そんなに詳しいの、光」 ようやく、晶は光の横顔に本音をぶつけた。 その時だった。 不意にチャイムが鳴った。 「店長かも」 振り返り、玄関を眺める光に釣られ、晶も振り返ると、メインのキーを使い、小林が入ってきた。 「どう?気に入ってくれた?」 「はい、ありがとうございます」 ふと背後の小林も背は高いが、小林より遥かに背の高い人物に気づく。 「偶然、て訳でもないんだけどね」 マフィを小林が紹介した。

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