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第26話

酒の効果も手伝い、ようやく晶も幾分、陽気になり、マフィや類にも打ち解け始めた。 「店長さん、国際結婚なんて凄いですよね、どうやって2人は知り合ったんですか?馴れ初めとか」 白ワインのグラスを片手に晶が尋ねると、類はうーん、と唸り、宙を見ながら思い返す。 「大学を卒業してすぐに、ワーキングホリデーでキャリーケースとボストンバッグだけでイタリアに向かってね。大学で英語は専攻していても、現地ではイタリア語圏で英語は殆ど意味は無かったんだ。イタリア語もわからなかったけど、なんとかシェアハウスも見つけて、念願だった、本場のイタリアのレストランでのバイトも見つかって」 「凄い行動力ですね」 感心した晶が瞳を輝かせ、類を見る。 「若さゆえの勢いだろうね」 そう言うと類は笑顔を見せ、ワインを飲んだ。 「でも、イタリア語、わからないなら苦労したんじゃないですか?店長」 「まあね。イタリア語が学べる専門学校に通おうかとも思ったけど、そんなお金は当時無かったからね、現地のドラマやニュースを見て、バイトのない日に懸命に勉強して」 「努力したんですね、真似出来ないなあ...。マフィさんとは何処で知り合ったんですか?」 「今はオーナーだけど、当時、マフィが僕がバイトするイタリアンレストランの店長で、面接をしたのもマフィだったんだ」 晶はえーっ!!!と仰天のあまり、叫んだ。 一通り、ある程度の話しは知っている光は話しを聞きながら、気ままに飲んだり食べたり。 「じゃあ、あれですか?店長さんがタイプだったから、マフィさんは店長さんを採用したとか?」 「まさか。日本人にしては背も高いし、手足も長いし、可愛いとは思ったけど、単身でイタリアに来た、て言う、類にびっくりして、そして感心したからだよ」 マフィは屈託なく笑った。 「それに、僕には当時、ボーイフレンドもいたから」 「あ、晶は別にうちの従業員な訳じゃないんだし、店長さん、はいいよ、類で」 類が晶に笑みを浮かべた。 「る、類さん」 「そ」 「俺は?店長」 「光は従業員なんだし、店長でいいよ」 ずるいー!と光が1人で暴れている。 「まあ、一緒に働いていくうちに、一生懸命、笑顔で頑張る類を好きになっていったんだけどね」 マフィは照れ臭さも見せずにグラスを片手に優しい笑みを浮かべた。

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