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第27話

「じゃあ、付き合い初めたのは、イタリアで類さんがワーホリ中に?」 「いや。たまに映画に誘ったり、ランチやディナーに誘ったり、類の部屋にも遊びに行ったことはあるんだけどね。思わず、類に手を出そうとしたこともあるんだけど」 光もそこまでは知らなかった為、晶と一緒に前のめりになり、話しを聞いた。 「類は、マフィには恋人がいるでしょう?マフィの恋人が知ったらきっと悲しむし、ショックを受ける、僕はマフィに抱かれるつもりはない、て、そんな類にも惹かれて」 それでそれで、と光も晶もワクワクしながらマフィと類の話しを待った。 「僕はイタリアンが好きで、学生時代も日本でイタリアンレストランでバイトしていたし、本場のイタリアンを知りたい、それが一番だったからね」 「類さんはマフィさんを意識してはいなかったんですか?」 「うーん、意識もなにも、マフィは僕の上司だった訳だし、とりあえず、恋する為に行った訳じゃ無かったから」 「よく言うよ」 マフィが隣の類を見て笑う。 「どういうことですか?」 途端、類がバツが悪そうに視線を落とす。 「あー、毎日、通ってきて、話しかけて来てくれる....つい、嬉しくって、一時期、交際してたんだ。マフィじゃなく...客として通ってきてた彼と」 光と晶が目を丸くした。 「....恋をする為にイタリアに行った訳じゃない、て、今....」 「で、出来心だよ。多少、友人は出来たけど、こう....人肌恋しいというか....」 「あー....なるほど」 慌てふためく類に晶と光が同時に気の抜けた声を漏らす。 「まあ、でも、ワーホリ中に別れたけどね。なんてことない、喧嘩別れ」 「類がワーホリが終わる、てなって、パーティを開いたんだ。一年、一緒にいたのに、居なくなる、て想像もつかなくて。またすぐにビザを取って、帰って来るんだろう?って、類に尋ねたら、もう戻らない、て類は言ったんだ。お金を貯めて、すぐにでも、日本でイタリアンレストランを開きたい、て」 「懐かしいな」 類が頬杖をつき、思い出しながら、優しい笑みを浮かべる。 「類を帰したくない、一緒にいたい、て、僕は当時のボーイフレンドと別れて、類にプロポーズしたんだ」 「凄い!マフィさんは類さんとエッチもしてなかったのに?」 「そこはあまり、重要なポイントでは無かったからね」 マフィが笑った。 「晶はすぐにエッチに結びつけるよね、エッチ」 光に笑われ、晶は恥ずかしくなり、うるさい!と真っ赤な顔でグラスを傾けた。

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