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第11話
「成人してるって嘘だったね。」
「な……んで?」
心臓が激しく動きだす。
「調べたんだ……君があまりにも似てるから」
「誰に?」
「ミオ」
ミオ………は翼の母親の名前。
「母さん………の?やっぱりアンタ、母さんの?」
翼は身体をハルキの方に向けた。
「翼は俺を知ってて近づいたみたいだね?」
ハルキに言われ、目をそらす。
「母さんを捨てたから」
「違うよ、俺が捨てられたんだ」
「は?嘘をつくな!俺を身ごもったから捨てたんだろ?今の奥さんと結婚する為に!」
「ミオがそんな事言ったのか?」
肩を掴まれて真剣な目で言われた。
ちがう……言ったのはアキオだ。
「俺は子供が出来ない。」
「は?」
「ミオが俺に言ったんだ他の男の子供を身ごもったと」
「なに……それ?」
翼は身体が震えてくるのがわかった。
「それでもいいと言ったんだ、俺が父親になるって…でも、居なくなった」
「うそ……なにそれ?」
「嘘じゃない!翼は俺が父親だと思ってたのに身体の関係を持ったんだろ?どうして?」
「復讐してやろうかと……思ったんだ……」
実の息子とセックスをする最低野郎だと罵ろうと……
「そうか、」
ハルキは翼を抱き寄せた。
「ごめん、辛い思いさせて…」
耳元で囁かれる謝罪。
ちがう!ちがう!こんな事を望んでいない!
罵倒して、最低野郎と……罵って……
だから、抱かれてたのに。
「君は言ったよね?義父に性的虐待されてるって…嘘じゃないんだろ?」
身体がびくっと反応した。
「後ろの傷はソイツに抱かれたから?キスマークも増えてる」
「ちが……虐待じゃない……合意の」
否定するようにそう言った。
「そう仕込まれたんだろ?逃げられないように見えない鎖で繋いで」
ちがう!そうじゃない!
翼は心で否定を続けるけど、息が苦しくなってきた。
「翼……ほら、息をして」
背中を擦るハルキ。
翼を風呂から出してバスローブに包む。
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