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第12話
ベッドの上で介抱してもらって楽に息が出来るようになった。
「大丈夫か?」
翼は首をふる。
全然、大丈夫なんかじゃない。
今まで……復讐してると思っていた。
ハルキの家庭が壊れてしまえばいいって思っていたのに。
「うそつき……」
翼はハルキに背を向けた。
「翼……」
優しく撫でる手。
払い除けれるけど、それは出来ない。
なんでだろう?
もっと触れられたい。
「泣くな翼」
頭を撫でていた手が頬を包む。
仰向けにされて、流れる涙にキスをするハルキ。
「いつ分かったの?」
「今朝……調べさせた探偵から連絡貰ったんだ」
探偵……金持ちだな。
「それで電話してきたんだ?」
「そうだよ。」
「調べる前から部屋は借りてたの?」
「うん。帰りたがらない君の為に」
「バカだねハルキさんって」
「うん、馬鹿だよ。」
ハルキはそう言って微笑む。
「ずっと、ハルキさんが父親だって思ってた」
「俺を調べたんだね。君を買うように言われて、君はずっと売春してた?」
「は?なにそれ?俺を買うようにって誰に?」
翼は驚き起き上がる。
「君の元締めじゃないの?バーで飲んでた時に男が君の写真見せてきたんだ。違うの?」
翼は知らないと首を振る。
「君がミオに似ていて会ってみたくて」
「俺は…………」
アキオが情報を持ってきた。彼から母親が捨てられた理由を聞いて復讐の為に探そうと思った。実父を探したいと彼に言ってしまったから……。だから、彼が情報を持ってきてくれたと思っていた。
それで、ハルキが男の子を買ってるからって……サイトを教えて貰った。
「ねえ、その男って………どんな?」
「背丈は俺くらいで、30代前半かなあ?」
まさか……アキオ?
「俺………帰る」
翼は立ち上がる。
「だめだよ、無理しちゃ……」
すぐにハルキに腕を掴まれた。
「離して……」
振り払おうとしてハルキに抱き締められた。
「帰らなくていい」
そういうわけにはいかない。
「帰って……荷物取ってくる」
「えっ?」
「俺の着替えとか教科書とか」
「ああ、そうか。そうだね」
ハルキはようやく翼を離した。
「荷物運ぶの手伝うよ」
そうして、服を着て車に乗り込む。
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