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第14話

助けて……… 声にならない叫びをあげる。 こわいよ、たすけてよ。 誰を呼んでいるのだろう? 誰も助けてくれないのに。 本当はずっと怖かった。怖かったけど平気な振りをしていた。 ジーンズをぬがされて脚を広げられた。 「翼、お父さんのチンポ好きだもんな。気持ち良さそうに腰をふって………本当にいやらしい子だ」 アキオは自分のイチモツを翼の後孔へとあてがう。 「可愛く鳴けよ」 そう言って味わうように挿入してきた。 ビリリと痛みが走る。 裂ける……そう感じた。 「や、いや!嫌だ!」 頭を振って抵抗する翼。 「嫌なわけないだろ?夕べも自分から誘ってきたくせに!初めての時も翼は気持ち良さそうだったもんな……それから、自分から欲しがって腰振ってるくせに……そんなにお父さんとのセックス気持ちいいか?ん?」 楽しむような顔。 「やだってば!」 身体をくねらせる。 嫌がってもジワジワと挿ってきて、ソコが痛い。 「つば……さ……締め付けてくる……気持ちいいんだろ?今日はたくさん、激しくしてやるからな」 息を荒くアキオは奥まで入れてきた。 グッ!と押し付けられ、身体にビリッと電気が走ったような感じがした。 「い……や……」 逃げたい!逃げたい!! でも、アキオが腰を振ってくる。ズンズンと重くて鈍い感覚が翼を襲う。 無理矢理……そうだ、いつも無理矢理だった。 痛いって初めての時に言ったのに止めてくれなかった。 次の日も次の日も…… この男にレイプされ続けた。 気持ち良くなんか無かった……心が痛くて……吐きそうだったのに。 怖いよう……助けて……。 「や…………はる……き、さ」 思わず出てしまった名前。 車の中で自分を待つ男の名前を呼んでしまった。 すると、空気が変わり………、 グッと首を絞められた。 「お前もか!そんなにあの男がいいのか!ミオもお前も!」 アキオの目の色が変わり、両手で首を絞め始めた。 空気がそこに存在しないように息ができない。 声もでない。 「大人しく俺のいう事聞いてれば死なずにすんだのに………」 い………ま、なんて? 「結婚したのに!いつまでも!」 グッと力が入り翼の思考回路が停止しそうだ。 視界がぼやけて、アキオが何か叫んでいるけど………もう、わからない。 死ぬのかな? ……………シニタクナイ。 優しい手をもう一度差し伸べてほしい。 なんでかな? 走馬灯とか見えるんじゃないのかな? 走馬灯って小さい時から今までの記憶だよね? なんで、海でのハルキさんが過るんだろう? 翼………… ハルキさんに名前を呼ばれた時、驚いたけど………同時に何故か嬉しかったんだ。 ヒロじゃなくて。 翼って呼んで欲しかったのかも知れない。 「翼!」 ハルキさんの声だ。 最後に翼の耳に届いたのはハルキの声だった。 母親が亡くなる前にどうして翼って名前をつけたのか聞いた事がある。 「名前みたいに遠くの空まで飛んでいけるようによ」 そう言って笑った母も見えない鎖に繋がれていたんだ…… 名前みたいに………逃げ出したい。 名前を呼んでほしい。 できたら………あの人に。

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