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第6話 振り回されてぐるぐる

 結局その夜は那月さんが眠って部屋の中が静まるまで寝られなくて、眠ったと思ったらすぐに那月さんに起こされた。  どうやら疲れていたせいで深く眠っていたらしい。起きたのはそこまで早朝ではなかったけれど体感では一瞬だった。  それから朝食と散歩を兼ねて朝市で食べ歩き。  昨日のこともあってそれなりに距離を取っていたつもりだったけれど、那月さんがあまりにも普通なせいでいつの間にかそれもなくなった。  そして部屋をチェックアウトして帰る途中で地元のスーパーに寄って普通の買い物もした。普段コンビニくらいしか行かないから、カゴを乗せたカートで調味料とか食材とかお菓子とかを買うのはなんだか懐かしくて、お土産でもないのに大荷物になってしまった。  そのまま家の近くにまで送られ、僕は一人で荷物を抱えて帰宅。  とりあえずなんでもかんでも冷蔵庫に詰めてからすぐに仕事に向かい、調子よく午後の仕事をこなした。  だから、再び那月さんと二人になることに妙な緊張感を抱いたのは自宅に帰って一息ついてからだ。  ヒートはまだ来ていない。  だけどペナルティでしたキスは決して軽いものじゃなかったし、ああいうことが簡単にできる人ならば僕はどういう態度を取るのが正しいのだろう。  本人にも警戒しろと言われ、だけど警戒したところで那月さんの目的は変わらない。だったらいっそもっと那月さんのことを知るべきなのか。それともこれ以上はとにかく距離を取るべきなのか。  少なくとも、逃げられないその時までは。

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