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第7話

 バカかオレ。  ファビウスが優しい奴だと思うなんて、どうかしている。  生まれ出たいくつもの疑問にオレは頭を振ってそうじゃないと言い聞かせる。  ファビウスがいいひとなんてとんでもない話だ!!  そうやって葛藤している間でも腹は減る。  ぎゅるるるるる......。  静かになった、ひとりしかいない部屋で、オレの腹の虫が鳴いた。  ファビウスが作ったものを食べるなんて気が進まない。  っていうか、オレのプライドが許さない。  なのに......。  ぎゅるるるるる......。  また......腹が鳴った。  くっそ、腹立つな!  なんであんな奴が作ったご飯を見て欲しいと思うんだろう!  オレはふくれっ面をしたまま、ラップを上げてサンドイッチにかぶりついた。  そうして満たされた腹で、眠気が襲ってくる。  夜通し抱かれ続けた体はやっぱり疲労しているらしい。  うとうとしたままベッドに寝転がっていると、どこか遠くでドアが開く音を聞いた。  足音は少しずつ大きくなっている。  どうやらこっちに向かってきているようだ。  それを理解した瞬間、オレの頭が覚醒した。  同時に、この部屋のドアが勢いよく開く。 「ファビウス、喜べ!! やはり君が思っていたとおりだった。奴らは孤児院が雇ったんだ!!」  聞き慣れないバリトンで、けたたましい大声を放つ男は、寝巻き姿でベッドに寝そべっているオレを視界に入れた後、はた、と止まった。  まるで見てはいけないものでも見たような、そんな雰囲気だ。  けっして大柄とは言えない長身の男は、ファビウスと同じくらいの年齢だろう。  彼は、ゆるく波打つ黒髪が印象的な、やっぱり目鼻立ちが整っている格好いい男だった。  その男が言った内容がどうも気に掛かったんだ。

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