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第11話
「ファビウスだって......。オレのこと玩具みたいに扱ってる......」
そう言った瞬間、オレの目にあふれていた涙が、ポタリと頬からすべり落ちた。
ズキンッ。
言ったとたん、さっきよりもずっと胸が痛む。
――どうしてだろう。
孤児院とか、人さらいとか、そんなことよりも、ファビウスに玩具みたいに扱われていることの方がショックみたいだ。
そこで知ってしまったオレの感情。
オレは、ファビウスを好きなんだって理解した。
いつからファビウスが好きだったんだろう。
それはたぶん、人さらいから逃げるオレに手を差し伸べてくれたあの時から......。
じゃなきゃ、いくら助けてもらったとしても、無愛想なオレがファビウスに――しかも初対面で出会ったばかりの人間に、孤児院のこととか自分の性格なんかを話すはずがない。
それって、きっとそういうことなんだ......。
――どうしよう。
最悪の状況なのに、ファビウスが抱きしめてくれる今が嬉しいなんて......。
だけど、ファビウスはただオレをなぐさめようとしているだけだ。
だからきっと、オレを抱きしめてくれるこの腕もすぐに解かれてしまう。
そう思うと、また胸がジリジリと痛み出した。
しばらく沈黙が続いた後、口をひらいたのはファビウスだった。
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