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第12話
「......そもそも、どうして孤児院に人さらいが侵入したのかが不明だった。金がないところに人さらいが侵入しても利益は出ないからな。もし、さらうなら、身代金を用意させ、そのままとんずらすれば収入もずっと増える。リスクは伴うかもしれんが、同じさらうなら、その方がずっといい。
俺ならばそうする。だが、奴らはそれをしなかった。
なぜだろうと考えたら、俺の中で孤児院側が人さらいを雇ったのかもしれないという結論が導き出されたんだ。そんな中で、お前を孤児院に戻すわけにもいかず、だが、このまま静かにこの屋敷に留まってほしいと言うには、俺の意見を話さなければならない。
それを言えば、お前はどうする? ほぼ初対面にしかすぎない俺なんかよりも、ずっと世話になっていた孤児院の方を信じるに決まっている。
そして、お前はこの屋敷から逃げ出し、孤児院に帰るだろう。――ともなれば、お前はまた、人さらいに狙われる。今度は俺が手の届かない場所に追いやられるかもしれない。そう思った......」
それって、つまり、オレを助けるために、オレを囲ったの?
呆然としたままファビウスを見つめていると、また彼は話しを続けた。
「それに、俺はお前を抱きたいという欲望を抑えられなかった......。この屋敷に留まらせることもできるという理由が重なったんだ」
オレを抱きたいって……。
じゃあ、ファビウスがオレを抱いたのは、オレを好きになってくれたから?
「それって......」
俯けた顔を上げると、整ったまゆ尻が、悲しそうに垂れ下がっているのが見えた。
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