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番外編Ⅱ
「お~い、ファビウス~」
こんなに揺らしても、まったく起きないなんて......。
はあっと長いため息をついて、いまだ眠っている彼を見下ろせば、オレの視界に真っ先に飛び込んでくるのは、朝日を浴びた象牙色の肌――。
サファイアの綺麗な瞳は、今は長いまつ毛で閉ざされている。
常にオレをあばく半分ひらいた薄い唇。
プラチナブロンドは絹のよう。
相変わらず、すごく綺麗だ......。
ベッドに横たわる彼に見とれていると、腕が伸びてきて、ベッドの方に引っ張られた。
「うわわっ!!」
気がつけば、目の前にはサファイアの瞳がオレを覗き込んでいた。
「アール、また食事の用意をしてくれたのか?」
まだ寝起きらしいその人のテノール声はかすれていて、男の色香を放っていた。
起きてたのかよっ!!
狸寝入りなんて卑怯だぞ!! ――なんて思っても、声に出せないのは、大好きなその人が射抜くようにオレを見つめてくるから......。
ドキン、ドキンと心臓が高鳴って、胸がいっぱいになる。
何も話せない。
だけど、何か話さなきゃ、オレがファビウスに見とれていたっていうことを知られてしまう。
いくら恋人になった今でも、そんな状況を知られるのはやっぱり恥ずかしい。
「......オレはこれくらいしか役に立たないから......」
ドクン、ドクンと高鳴る胸を抑えるように話すその言葉は、オレが思っていたよりもずっと悲しい内容になってしまった。
これじゃあ、ファビウスに面白みがない奴だと思われてしまう。
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