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第5話 訓練

訓練と言われ着いていくと、とある倉庫に来た。サトル、という情報屋の護衛が振り向いてリョウタを見た。  「この倉庫内にはカメラが20個。ミナトさんが管理している。そして、俺が捉えた雑魚共の拷問場所でもある。」  サトルの言う雑魚共がどこにも見当たらない。もう死んでいるのかも、と眉を顰める。  「そいつらには、お前を殺せば逃してやると話している」  「えぇ!?俺、殺されるんですか!?」  「知らん。それはお前次第だ。勝てば生き残るし、殺されたならそれまでだ。」  「そんな…っ、聞いてないですよこんなの」  サトルの後ろで微かに物音がした。2人はそこにいるのだろう。ごねながらもなんとか時間を稼いで敵の居場所を確認した。  「…なるほど。このお喋りは相手の確認か。」  「ぎくっ!」  「…リアクションを口で言うやつは初めてだ。1時間で全員を気絶、または再起不能か、殺したら認めてやる」  サトルがスーツの袖から腕時計を出して、ピッと音がした瞬間、あたりは一気に殺気に満ち溢れた。  「うぉっ…とぉ!」  敵は武器も有りだったようだ。ナイフが頬をかすめて集中力があがる。  (やっぱり…遅いんだよな…。)  リョウタには相手の動きがゆっくりに見えていた。浅く呼吸して、後遺症が残らないように急所を突く。  (あと3人…いるはずなんだけどな…)  時間の感覚が分からなくて焦る。微かに煙の匂いがして振り返ると、その後に銃声が聞こえた。  「っ!!…ぅ、っ、」  左腕を掠めて、ぎゅっと握るが血が止まらない。殺しに来ると分かっていたのに、頭のどこかで殺さないだろうと油断した。倉庫の影に隠れて止血し、吹き出す汗を拭い、集中力を一気に上げた。  (上か…たしかによく見える) 貨物の上にいた男を追いかける。 「やぁ、お兄さん」  「くっそぉ!このクソガキが!」  「貴方には同じ痛みをあげる」  銃を奪って、左腕を撃つ。命中してバランスを崩したその人は貨物から落ちた。  (…殺すつもりはなかったんだけど…ごめんなさい)  残りの2人を追いながら、銃弾を確認するとあと1つ。護身用にと、とりあえず持って行く。  「お!いた!」  「お願い!助けて!」  「えっ!?」  泣きながら震える髪の長い女の子。助けて、怖い、と泣きじゃくる。たくさん怪我もしていた。  「大丈夫かい?」  「お兄ちゃん、私を助けて…っここから出してよ!私は、指示されただけなのに」  「指示…?」  首を傾げていると、上からの気配に気を取られた。  「っ!」 「うわぁあああ!死ね!!」  「うぅーーっ!!」 女の子が包丁を持って向かってくる。上からは少年が棒を持っている。  「助けてあげられない。ごめん」  どちらも急所を突いて失神させた。血を流しすぎてクラクラしながら入り口に向かうも目の前がぼやけて、平衡感覚がなくなり、意識を失った。  「ミナトさん、14名の48分でした。動きは割りと速いです。だが、敵に耳をかすというまだ甘いところがあります。」  『そう。まぁまぁだね。撃たれたのが少し残念だけど、サトルが鍛えたら大丈夫かな。頼むね。今からカズキを送る。サトルはレンのところ戻っていいよ。ありがとう』  「御意」 カタカタカタ… ミナトは数多の監視カメラモニターを見ながらデータを記録した後、アサヒに報告を入れた。 「無傷はやっぱりあの子だけだった…。惜しいことしたよね、アサヒってば。」   『あちゃー。リョウタはダメだった?』  「ダメじゃないよ?ただ、あの子には及ばないかな。今撃たれて意識失ってる。他の人よりも血が止まりにくいみたい。」  『昨日まで一般人だ。仕方ないさ。あいつと一緒にすんな。リョウタが可哀想だろ。』  「…ふふっ、本当に嫌いなんだね」  『あぁ。嫌いだ』  殺気のこもった声にゾクゾクして、満足そうにミナトは電話を切った。  (リョウタが育てば即戦力になる。ユウヒとどっちが先に使えるかな…)  4台のパソコンと、壁一面に広がるたくさんのモニター、世界中の新聞で埋まる部屋で伸びをした。  ピピッ  『取引 来週水曜日 0520 大川橋付近』  チャットに入った情報に、戦略を練る。取引先の地図と配置を考えイメージをする。  『ありがとう、レン』  お礼だけ先に送って資料をまとめた。 

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