29 / 191

第29話 興奮

「ンッ!!」  思いっきり扱かれて、息つく間もなくサキの手に撒き散らした。ガクガク震える足と、ぼんやりする思考では何もできない。  (気持ち…良かったぁ…)  目を閉じて、呼吸を整えていると、腰の下に枕が敷かれた。  (何…?)  ぼんやり見ると、サキのボサボサの頭が見えた。  「アァッ!な、何!」  ピチャピチャと聞こえ、驚いて舌を見ると、真っ赤な舌でペロペロと穴を舐める。あまりの恥ずかしさに、言葉が続かない。固まったリョウタを、前髪がかかった目で見てくる。  ズクンッ… (や…だ…。なんで…)  サキの顔を見て、吐き出した熱がまた復活し始めた。目の前でそれを見られ、クスクスと笑われて顔から火が出そうだった。  「わ、笑うなよ」  「ごめん。可愛いすぎるから。ここ、怖くない?」  「怖くないけど…恥ずかしいよ。汚いし。」  「気持ちよくはない?」  「なんかくすぐったい」 話しながらもペロペロ舐めるサキに、リョウタも笑って、2人でだんだん笑いが止まらなくなった。  サキが上にあがってきて、ぎゅっと抱きしめてくれた。  「はーっ、暴走しそう」  「あはは!我慢してくれてるの?」  「うん。でも、こういうのも楽しい」  「俺も!」  2人でまた笑い合って、キスしたかったけど止めた。  (う…俺のお尻舐めた口だし…)  「リョウタ、キスしたい」  止められたサキは不満そうな顔をする。  (したいよ!俺だって、でも、でも)  顔を背けて嫌がると、察したのか呆れたように笑って、首にキスしてくれた。  「気にすんのな」  「だって!」  「はいはい。本当、反応が全部ツボとか…」  サキは口元を腕で隠して目を逸らした。 (白い肌だな…ずっと待機してるのに、日焼けしないんだな…)  するりと肌を撫でると、ビクッと跳ねた。  「きゅ、急に触るから!」  「あっれ〜?もしかして敏感??」  「っ!うるさい」  「だからいつも厚着してるの?」  「そんなんじゃない」  「わぁ…細いのに腹筋もすごい…」  「ンッ…も、やめろ」  パシンと手を取られ、サキを見ると先程の野獣みたいな目に戻ってしまった。固く反応した熱を、リョウタの脚に擦り付けた。  「ブチ抜くぞ」  「ひぃっ!ご、ごめんなさい。楽しくて」  「煽ったり楽しそうにしたり…調子狂うな…」  やりづらそうに頭をかくサキに不安になってしがみついた。 (俺は、普通が分からないから…) 「…やだよ、比べないで」 「リョウタ…」  「もう…分かるだろ?ちゃんと…シたことないから、どうしたらいいか分からない。」  「ごめん」 「教えて?サキのシたいようにして」  「リョウタッ!」  サキが舐めていたところに、ぐっと指が入って激痛に呼吸が止まり、冷や汗をかく。以前は薬の効果で、ここを弄らないと足りなかったのに、今は痛みしかない。知らない奴らにヤられた時の方が気持ちよかっただなんて耐えられない。薬のせいとは言え、サキの前で狂ったように善がったのを思い出した。  (ちゃんと、できないと、嫌われるかも)  必死に歯を食いしばって、痛みで絶叫したいのを耐えた。ヒリヒリして、気持ち悪くて、涙が溢れたけど溢さないように、サキに心配かけないように枕を抱きしめた。  「ちょっと待ってて」  ズルリと抜けて、ほっとする。引き出しをゴソゴソしている。  (休憩かな…よかったぁ。痛すぎて…次が怖い)  枕に顔を埋めて、小さく鼻を啜った。サキが戻ってきた気配を感じて身体が強張る。痛みを覚えてしまった身体は、足を開くことも拒否した。  「リョウタ、力抜いて」  サキの声にも、力が抜けなくて焦っていると、枕が取られて見つめられた。  「やっぱり泣いてる…痛くしてごめん。」  「大丈夫だから、全然、痛くないし」  「強がるな。ほら、これ見て」  液体を見せられて、首を傾げた。また薬なのかと思ってさすがに恐怖が襲った。 「やだ!っ、も、嫌だ、こわ、い、薬はっ」  「え?…ローションも嫌なの?」  「ろーしょん?」  リョウタの手を取ると、そこにトロリと垂れてくる。 「大丈夫。見てて」  サキがリョウタの手と自分の手を絡めた後、ゆっくりキスしてきた。それに合わせていると、下が濡れる気がした。  ぐぐっ  「はぁっ!うぁ!」  「ほら、入った。痛くない?」  「ん、痛く、ない、けど、苦し」  シーツを強く握って違和感に耐える。頭を撫でられて、閉じてた目を開く。優しい顔で覗き込まれて胸が苦しくなる。  「リョウタ、好きだよ」  「っ!」  「…日に日に好きになってく…今この瞬間も」  「っ」  「なぁ、リョウタ?どうしたらいい?」  困ったように笑って尋ねてくる。やってることは大人の営みなのに、この表情は年相応だ。  「もっと好きになって」  「うん。」  首筋に舌が通って、指が中を広げていく。ローションの音が恥ずかしくて腰を引くも、指は止まらない。 (だんだん慣れてきた…)  力が抜けるようになって、2本目を迎えて、息を吐く。サキは無言で愛撫しながら慣らしていく。  グリッ  「っああ!?」  「あ、ここ?」  「ひぃっ…っぁああ!あぁあ!」  サキが当てた場所に触られると、あの日の快感が蘇る。  「待って!っぁああ!待ってよぉ!」    (何これ!やばい!!)  叫んでもやめてくれないサキは、指を抜くと、熱を擦り付けてきた。  「っ?」  「リョウタ、好きだよ」  「ん、ん、おれ、もぉ」 ぐぐぐ  「ぃっ!?っう…ぁああああーッ!」 「っふーっ、っは、はっ、はっ」  とんでもない質量に、はくはくと呼吸をする。目の前がチカチカして、何が起こったか分からなかった。  「リョウタ、入ったよ」  「へ?っ、ぅっ…ぁ、中…」  「リョウタの中…きもちいい…」  うっとりした顔をされて、顔が赤くなった。少し上がる口角が初めて見るサキの表情だった。  (サキ…すごく色っぽい)  舌舐めずりして、少し腰を引かれると、衝撃がすごくてサキの腕に爪を立てて叫ぶ。腰が勝手に反って、何も考えられない。  「リョウタッ、リョウタッ」  「ンッ…っぁあ!っぁああ!」  奥に突かれて、じわじわと迫り来るあの感覚。必死に息をして、しがみついて、キスをして、サキの声を聞く。いつもよりも低く、甘く、それでいて興奮した声。初めて聞く声、表情、快感。  (サキが好き、サキが好き)  愛しさが急激に溢れて、声も止まらない。あと一歩が怖くて、サキの名前を呼ぶ。すると、サキの手が、リョウタの雫をこぼす熱に触れた。  「あっ!やっ!いまぁ!ぁっ!ダメ!」  「リョウタ、一緒に、イこ」  「待って、ッ、ど…しよ、ぉ、サキ、サキ」  「は、っ、ん、っ、ん?どうした?」  「ダメだ、おれ、変だ…!ッぁ!」  ガクガクと震えて、猛スピードで絶頂が近づいてくる。  「アァッ!ァアア!!」  「ふっ、…くっ、っぅ、っは、きっつ…」  「ーーッァアァア!!」  お腹に熱いものがかかった瞬間、意識が飛んだ。 

ともだちにシェアしよう!