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第41話 オモチャ
木讃岐組は総会の後壊滅。名の知れた組織が、また桜井アサヒの手によって消された。
バン!!
「シンヤ!お前一体何をしていたんだ!アサヒと話したのだろう!?何故奴を止めなかった!?木讃岐組は良い金蔓だ。シマも広い!」
テンカは激怒し、シンヤを大声で怒鳴る。
(わぁ!親父が怒ってる!僕も兄さんみたいだ!嬉しいな!僕に関心を持ってくれた)
「何が可笑しい!」
クスクス笑い続けるシンヤに、テンカは呆れてすぐに話すのをやめた。
(あら。お話終わり?久しぶりのお喋りだったのにな)
少し残念で、トボトボとテンカの部屋を後にした。ヒマになったシンヤは連絡先の女の子の名前を眺めていた。
(兄さんの関わる女の人はこぞって殺したのに、僕が関わる女の人は殺さない…。どうしてだろう??)
ブスなのかな、とシンヤはまた1人でクスクス笑った。
(ミナトは命拾いしたよねー。男だから。顔はそこらの女の子より美人だし。)
そう思うと、ふと若い頃のミナトを思い出した。
(そういえば、元気かな?会いたいな)
アサヒが連れ帰った瀕死のミナト。血塗れで、汚くて、ボロボロだったけど、怪我が治ると嘘みたいに綺麗だった。
(ミナトに近づくことも許されなかったなぁ…。兄さんてば、アイラさんもいるのにミナトを離さなかった。僕には関心ないのに、ミナトばっかり。)
ふと、シンヤはぴたりと足を止めた。
(ミナトを殺せば、兄さんがみてくれるんじゃないかな!)
アサヒがミナトを大切にしていたことは、誰もが知っている。テンカがアサヒに天秤にかけた、アイラとミナト。結果的にアサヒはミナトを選んでいる。
「くくっ…くっ…っはははは!」
シンヤは笑いを堪えきれなかった。ヒマな毎日が楽しくなりそうな予感がした。
(今日は女の子はいいや。ミナトの写真を探そう。)
シンヤはアルバムを引っ張り出して、幼い頃のミナトから、アサヒと組を抜ける日までの成長していく写真を見て、興奮した。
(なんて美少年なの。兄さんばっかりずるい。独り占めして。)
一切笑顔のない写真。それが生きている人間に見えなくてゾクゾクと震えた。
(綺麗、綺麗、綺麗)
綺麗なまま、マネキンみたいなミナトを見ながら、自分の熱に手を伸ばす。
「あっ…は、女の子より…、良さそう」
この綺麗な顔を汚したくなって、激しく扱く。声も止まらないほど興奮して、パタパタと写真全てにぶっかけた。
(気持ちいいーーーっ)
写真のミナトの顔にかかったものにさらにゾクゾクして、収まらない熱を笑いながら発散した。
(抱いてみたいなぁ。泣くかな?それとも真顔?エロい顔とかもできたりするのかな?…やだな、欲しくなっちゃった)
舌舐めずりして、ニヤリと笑った。
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