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第45話 手と手

ハルは医務室に篭りっきりのカズキにサンドイッチを作り、医務室へ向かった。ドアを開けるとカズキは仮眠をとっていた。  (…頑張ってくれて、ありがとうな)  ピッ ピッ  電子音が一定で鳴り続ける。  どうしても救いたかった命を、抜けた自分含め、守ってもらった。  (弘樹…頑張れ。)  ーーーー  アジトに着いて、足の治療を受けた後、バタバタと入ってきたのは血塗れの弘樹。  (遅かったのか?!) 「弘樹!!弘樹!!」  心配だった。総会に連れていけないことが。俺も殺されかけたんだ、弘樹が無事のはずはない。そう思っていた。…思っていたけど、目の当たりにするとパニックになった。  (守れなかった、守れなかった)  パシン!!!  熱くなる左頬を押さえて目を見開いた。 「っ!!」  「落ち着けハル!!この子は僕らが助ける!」  「カズキ…」  「すまない!サトル、アイリ!手を貸してくれ!」  「御意」  「うん!!」  カズキは人に頼ることができない。自分で解決したがるところがあるが、この時はサトルやアイリに声をかけた。大手術が行われ、アサヒさんがリョウタをボコボコにして帰ってきた後も、手術は続いた。  ーーーー  思い出していると、カズキがゆっくりと目を開けた。目を擦ったあとに眼鏡をかけ、ハルを見るとニコリと笑った。 「ハル…、食事、ありがと」  「あぁ。…弘樹、どうだ?」  「うん。いい感じ。もうすぐ目覚めると思う。…ただ、トラウマが残るかもしれないね。メンタルケアが必要だよ。」  「そうだな。」  ハルは椅子に座るカズキを後ろから抱きしめた。  「カズキ、また…会えてよかった」  「…もう、どこにも行かせないから。僕は一回は譲ったから、次は僕の言うこと聞いて」  「あぁ。」  「一生そばにいて。ハルがいない日常なんて、生きてる心地がしなかった」  カズキが振り向いてキスをしてくれた。優しいこいつが、少し怒っていた。  「あの人と、結婚したかった?」  「まさか。結婚するつもりはないよ。急にだよ、カズキ見た後からベタベタ…。妹としか思ったことないよ。」  カズキはハルの大きな手をいじりながら、満足そうに笑った。  「足が治ったら…抱きたい」  「治ってなくても、いい」  「ダメ。治らないとシない」  無理はさせない、と言うカズキに笑う。  「いつも無理させられてるんだけど?」  「それはハルがいつも我慢させるからでしょ。いろんな言い訳して僕から逃げる。」  「お前が絶倫だからだろ。全く。こんな顔して性欲強いとか驚きだよ」  ハルはカズキの手をゆっくり愛撫するように撫でた。2人は手しか触れてないのに、ゆっくりとその手でコミュニケーションをとった。  「なんか…恥ずかしい、なにこれ」  「もう離したくないな…」  2人はふふっと笑って、またキスをした。 「弘樹が目を覚ましたら…」  「うん。」  手を触れ合いながら、クスクスと笑った。

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