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第49話 戯れを見る影
「リョウちゃん!打ち合いしよ!」
「あー!ヒロずるい!次は俺とリョウタの番だろ!」
訓練のメンバーが増えて、サトルが学校の先生みたいだとレンから揶揄われていた。
リョウタは苦笑いしながら、ユウヒと弘樹がやるようにと言って休憩を取った。
(あっつ…)
汗を拭いて座り込むと、隣にレンが座った。
「お疲れーっ!どう、ヒロは?」
「いやぁー。やっぱハルさんが稽古つけてただけあるよー!俺より動きがいい」
「さすが!弘樹の母親は有名な殺し屋だよ。」
「え!!?」
「義美との結婚が決まる前にできた子さ。弘樹の親父は義美との結婚を嫌がったが、お家の面子のための結婚を余儀なくされたのさ。可哀想だよな、全員。」
レンは弘樹を見ながら眉を下げた。
「弘樹がもしあの組の頭になってたら…アサヒさんと同等になれる程のポテンシャルはある。…それを恐れたのさ。弱い奴らは力が恐怖みたいだな。」
弘樹はユウヒを簡単に倒して、威嚇しては口を大きく開けて笑っている。
(楽しそうだな)
リョウタもつられて笑うと、レンもユウヒにヤジをとばした。
「リツが抜けた分、3人の力が備わったわけだ!怖いもんはねーよ。」
レンの言葉に、リョウタはレンを見た。
「リョウタ、俺たちは…最終的に桜井テンカを討つ。その為に力をつけたり、任務をして周りを固めてる。」
「…はい」
「桜井テンカはアイリを狙ってるそうだ。絶対渡してはダメだ。」
「アイリを…」
「そう。アサヒさんがいれば、まず安心だが…。頼りっぱなしはアサヒさんの負担になる。1秒でも早く強くなってほしい」
「はい!」
大きな返事をして、弘樹と対峙する。
(のんびりしてる場合じゃない。親父と言ってくれたアサヒさんのために。)
「かかってこい弘樹!」
「臨むところだ!!」
嬉しそうに笑って向かってくる弘樹。
弘樹は飲み込みが早い。リョウタとユウヒの良いところをすぐに取り入れる。
「っ!」
(早いっ!!)
レンは口を開けてリョウタと弘樹の訓練をみていた。
「へー。リョウタが押しされてるー」
「あぁ。やっぱ才能が違うよ。リョウタのスピードと、ユウヒの柔軟性、それにハルさん仕込みのあの力の入れ方。」
バキッ!!
サトルがレンに解説している間にリョウタはぶっ飛んだ。
(これだ!俺に足りないやつ!)
リョウタは口から溢れた血を拭って笑った。
心配して駆け寄ってきた弘樹の手を掴んだ。
「弘樹!もう一回!」
ーーーー
低めのビルの屋上。全身黒で身を包む人影。
「うーー…ん。ここには、ミナトはいないのかぁ〜残念。子どもたちが遊んでるだけ」
長い髪を結び直して、足をぶらぶらさせた。
「やっぱ昼は嫌い…頭痛いや」
シンヤは頭を押さえて、下を向いた時、子どもたちを見守る2人の大人を見た。
「わぁ!綺麗な人、みっけ!!」
シンヤはニヤリと笑った。
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