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第52話 のぼせ

ザー… リョウタはガシャガシャと髪を洗う。真っ白になっていた髪が元の黒髪に戻っていく。  「痛っ…たぁ…」  弘樹に吹っ飛ばされてできた、後頭部の傷に顔を顰め、歯を食いしばってシャワーを終える。  (…疲れた…)  1人のこの瞬間はありのままでいられる。何も着ない、そのままの自分。  レンが湯を張ってくれて、いつもはシャワーですませるが、そっとお湯に足を入れた。  「はぁ〜〜っ、気持ちいい…」  バスタブの淵に腕を置いて目を閉じた。ヒノキのいい香りと、血の匂い。  (血!?)  思わず頭を触るも流れるほどではなかった。  首を傾げると、口元に温かいものが垂れた。  「うわ!鼻血か!」  一人で慌てて、結局すぐ湯船から上がった。シャワーでゴシゴシと流していると、後ろからヒヤリとした人肌。 「リョウタ、俺も入る」  「うわぁ!?…はいはい、どうぞ〜ごゆっくり」  「待て。一緒に。」  「やだよ。俺もう洗ったもん」  のぼせて鼻血を出したことが恥ずかしくてバレないように風呂場から逃げようとする。  「ダメ。」  この細い腕のどこに力があるのか、ぎゅっと抱きしめられたら動けない。  「……。」  「……。」  「サキ」  「ん?」  「…わざと?」  「…わざと。」  サキが固くなった熱をお尻に擦り付けてくる。意識すると顔が熱くなってきた。  「好きな人が裸でいたら勃つよ」  「す、好きな人…って」  「ほら、リョウタも。」  お湯で温かいサキの手に包まれ、背中を反って刺激を受け入れた。  「あぁっ…あ、っ、ぁ、」  「気持ちいい?」  シャワーの音でかき消されそうなサキの声に頷いて、足がガクガクと震え、力が抜けていく。  「ここに座って。」  バスタブの淵に座ると、サキが勢いよくリョウタの熱にしゃぶりつく。目の前に星が飛んで、サキの髪を握って声にならない声で叫ぶ。  ザー… ジュル ジュル  (ダメだ…もうっ…っ、イくっ!!)  「アァ!!」  ごくんと飲み干したサキは、濡れた身体でこちらを見上げる。  (う…わぁ…)  いつもはボサボサと広がっている茶色がかった髪がシャワーで落ち着いている。少し張り付いた前髪が一気にサキを大人っぽく見せた。  「リョウタ…シたい…っ」  懇願してくる顔は幼いのに、ギャップに耐えられず、サキの唇に噛み付いた。キスしながらボディーソープで中を解され、イイところをトントンと突かれれば、理性がトびそうになる。  「はっ…はぁ、っ、サキ、っ、サキ」  「リョウタ…、リョウタ」  「も、いいから、っ、ね、」  「っ!リョウタ、掴まってて。」  ボディーソープで泡だらけのソレが入ってくると、声が抑えられなくて、サキの肩に噛み付いた。それにサキが興奮したのか、激しく腰を振り、リョウタはなす術なく快感に飲み込まれた。  ーーーー  「逆上せるまでナニしてたのかなぁ〜?」  「「……」」  レンにニヤニヤと笑われ、二人は黙るしかなかった。サキの首に広がる噛み跡が全てを物語っていた。  「俺もリョウタに噛まれたい」  「ちょっと!ユウヒやめてよ!」  リョウタは慌ててサキの首にタオルをかけた。 それを黙って見ていた弘樹は、少しだけ眉を下げた。  「あぁ…そういうこと…。」  あからさまに落ち込んでしまった弘樹にワタワタするも、何も言えずに黙った。  「もう…仲良すぎ…」  また笑って言う弘樹に胸が痛んだ。なのにサキはそれにニヤリと笑ってリョウタの肩を抱いた。  「だろ?リョウタは誰にも渡さない」  サキはそう言った後ユウヒを見た。ギロリと睨みつけるユウヒに、勝ち誇ったかのように笑う。  「な?言っただろヒロ。」  「…もう寝る。組長のとこ行く。」  「あ!ヒロ!お前もしかして泣いてる?」  「泣いてない!ユウヒうるさい!!」  珍しく怒って出て行った弘樹を唖然と見送った。レンはサトルにベタベタしながら、若いね〜と笑っていた。 

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