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第69話 余裕
久しぶりの熱が、体内を抉って、目の前がチカチカする。
隣に迷惑だとか、明け方だからみんなが起きたらどうしようとか、考えることはたくさんあるのに、今はただ、目の前の好きな人とくっついてこの衝動を発散したい。
(サキ、サキ、サキ)
初めての恋が、こんなにも自分を埋め尽くすとは思わなかった。コントロールなんかできなくて、ひたらすら締め付けて、腰を跳ねさせて叫ぶ。普段見ることはない、汗をかくサキにさえ色気を感じて、ゾクゾクしてたまらない。
(またッ…イく!!)
サキの細い腕をギュッと握って欲を放つ。
(気持ち…よすぎるっ…)
しばらく放心して、サキが頭を撫でてくれる。
(あ…サキ…)
微笑んでこちらを見ているサキに、心臓がバクバクとうるさい。
(好きだよ、好き)
「リョウタ…疲れた?…泣かないで」
「好き…サキが好き」
「うん、俺もリョウタが好き」
「あはは…初めてだ。好きすぎて、なんか、涙止まらない…あははっ、こんなこともあるんだねっ」
「〜〜っ!」
サキは強く抱きしめてくれた。リョウタは感情を言葉に乗せた。
「サキ、大好きだよ。こんな気持ち初めて。嬉しいなぁ、サキと一緒。こんなにも安心する。不思議だね」
「もう、言わないで、恥ずかしい」
「やだ。絶対伝える。サキが言わない分俺が倍以上に言うんだ」
サキはリョウタの首にキスして、ありがとうと小さく答えた。
「俺…も、伝えるように、するから…」
「無理しなくていいよ?」
「甘やかすなよ。またレンさんに叱られる」
「ゆっくりでいいよ」
サキの熱はまだ固いまま。
リョウタはじくじくと復活する熱を感じてもじもじした。
(俺、性欲強いのかな?)
「自信がないんだ。ハマりすぎて…捨てられたら、立ち直れない。」
「ん…捨てないよ。ハマってよ、もっと。」
「リョウタは大人だから、余裕だけど」
「余裕?あるように見える?」
リョウタは腰を浮かした。サキがビクッと跳ねて眉を寄せ、目を閉じた。
(可愛い)
「っリョウタ、ッ」
「お話してても、サキが欲しいって、急に動いちゃうくらいは、余裕、ないよ」
「ッ、ァッ、ぅあ、ッ、ぁ、」
サキが歯を食いしばって耐えている。気持ち良さそうに歪む、余裕のない顔。本来のサキ。
「サキ、もっとお前を出して」
「どういう意味っ、?」
「もっと、動くね?」
ゆっくり引き抜いて、全体重をかける。
「ァアァアーーっ!」
「くぅ…っああ!」
「ァア!ッぁああ!っあ!あ!」
「リョウタッ、!ッ!」
余裕のない声が、さらにリョウタを興奮させて、頭が沸騰したように理性が完全に飛んだ。
「サキの、ぉ、っ、ちょ、うだい、ッ、奥!そこぉ!そこ!っんぅ!」
「リョウタ、静かに、っ、声っ」
「あ〜っ!すごっ…い、ど…しよ、とまんないっ!っあ!ぁああ!気持ちいっ!」
涙が溢れて、焦点が合わない。
ふわふわと浮いたような感覚。
グリグリッ
「ッ!!?ーーッ!ぁああーッ!やぁ!そこ!ダメダメ!!だめぇーーッ!」
今まで来たことない奥を突かれて、背中が大きく反り返る。気がつくとベッドに寝かされ、激しく腰が振られる。
「ァアァアッ!ッ!ッ!」
「はぁ!はっ!リョウタ!イく?」
何も考えられなくて、ただ激しい快感に喘ぐだけ。
「ぁああ!も!もぅ!!ー!」
「ふぅっ…っ、は、っは、リョウタ!出すよ!」
「ンッ!ッぁあーーー!!」
「んっ、ん、さき、もぅ、いい?」
「だめ。まだ残ってるかも」
サキが出した白濁を、掻き出してくれる。熱が冷めると、とても恥ずかしくてリョウタはこれが苦手だった。
「もういいってば」
「だめだ。お腹壊して、ハルさんのご飯食べられないの嫌だろ?」
「うん。それは嫌」
「じゃあもう少し頑張ろうな?」
優しい言い方に、リョウタはキュンとして顔が熱くなる。サキは無意識の時に、こうして優しいところが出る。
(好きだなぁ)
ふふふと笑っていると、またイラついた顔で睨んでくる。照れ隠しだと分かれば可愛いものだ。
「はい。終わったよ。」
「ありがとう」
抱きつくと、肌と肌が触れ合って気持ちがいい。サキの乳首に吸い付くと怒られたけど、お願い、と言えば好きにさせてくれた。チュッチュッと吸い付いて、満足すると瞼を閉じた。
(〜〜っ!今日のリョウタ何?!可愛すぎるしエロすぎるっ!)
サキはまだドキドキが止まらなかった。必死に隠していた感情が溢れ出す。ニヤつきそうな自分を叱咤して、リョウタの髪を撫でると、また乳首に吸い付いてきて困った。
(赤ちゃんだ…。年上に見えないな)
お返しに、とリョウタの真っ赤に腫れた乳首に吸い付いた。眉を寄せて痛がるリョウタだったが、瞼が開くことはなかった。
(疲れただろうな…。リョウタ何回イってんだ?…あ、今日リョウタのイイとこ見つけたんだった!)
サキはどうしてもニヤけるのがとまらずに幸せを噛み締めた。
可愛い寝顔も、身体中に増えた傷跡も、小さな頭も全部がサキを満たした。
(リョウタ、ちゃんと伝えられるように、自信をつけるから。隣で見てて)
サキも大欠伸をしてリョウタに擦り付いた。リョウタが大きなクシャミをして、それに笑って、毛布を肩まで引き上げた。唇に毛布を擦り付けたあと、規則正しい寝息が聞こえた。
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