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第82話 怒りの矛先

「ふっ…ぅ、…っ、は、…っ、」  弘樹の声にハルは目を覚まして、寝ている弘樹の様子を見た。  (苦しそうだな。熱か?)  汗でしっとりとした金色の前髪をそっとあげ、額に手を置いた。  「ンッ!」  ビクッと跳ねた弘樹は眉を下げ、まつ毛を震わせて目を開けた。  「弘樹?」  「あ…ッ、組長…っ、だ、…よかった…」  「大丈夫か?体調は?」  「あはは…っ、、ッ、平気です…」  「嘘つくな。身体、起こせるか?」  カズキのいる医務室へ運ぼうと、弘樹の背中に手を入れた。  ビクビクッ  「ィ…ッァアァア!!」  (…は?)  突然の初めて聞く嬌声と、くたりと震える身体を預けて呼吸をする弘樹にまさかと思う。  「お前…薬抜けてないのか?」  「…え?…っ、?」  「しっかりしろ!」  聞いているのかいないのか。とろんとしたままの弘樹。  (こりゃリョウタもまだ効果があるな…。カズキに言わねぇと)  じわりと滲む弘樹の服。まだビクビクと震えているのが、相当強力な物だと察した。  「組長ぉ…っ、ヘン、ッ、あたま、おかしく、なるよぉ、」  また熱を持ちはじめたそれに、泣き始めた弘樹に困ってしまう。取り敢えず下を脱がせてみると、勢いよく飛び出し、弘樹の腹を打つ。弘樹は恥ずかしいのか顔を隠して、足を擦り合わせた。  「組長、っ、助けてっ、」  流れた涙を見て、躊躇なく弘樹のを咥えると、頭を振り乱して叫び始めた。痛いほど握られた髪に、弘樹の余裕のなさを感じる。  (弘樹、我慢すんな)  「ァッアッァアッ」  パンパンに膨らんだ袋を撫でると、ググッと腰が浮いた。  「ァアーーーーッ!!」  (すっごい量…。さっきも出したのに…)  コクンと飲み込んだところで、ドアからの光に気付く。  「…ハル…、何してんの」  瞳孔が開いたカズキに血の気が引く。  (ちがう、これは。仕方なく。)  音にならなかった言葉は、余計にカズキの目が鋭くなる。 「組長ぉ、もっとぉ…」  「「っ!!」」  弘樹が理性を飛ばして求めてくる。その弘樹の顔を見たカズキは、なるほど、と苛ついたように呟き、何処かへ行った。  「組長、ぉ、ここ、ッ、好きに、なっちゃった、だめなのに、ッ、ここ、痒くて、」  弘樹はもうどこを見ているのか分からない。ひたすら腰を浮かせて恥ずかしいソコを見せてつけては指で広げてくる。  (ごめんな、弘樹。ここは、超えられねえ)  ハルはカズキにビビりながらも、弘樹を慰めるべく、指に唾液をたっぷり混ぜて、そっと差し込んだ。  「はぁッンッ…ぁ、あ、ど…しよぉ…」  ギュッギュッと締め付けて腰を振って好きな所に当てようとする。弘樹の探している場所を察して、ググッとソコを狙う。  「あ…ッ!」  ハートマークでも付きそうな甘い声に、流石にハルも顔が赤くなった。気持ち良さそうな顔は、昔のハルが沸き上がる。カズキと会うまではバリバリのタチ。女とした時の記憶が蘇る。  「ここ…?弘樹」  「うんッ!あ…ッ!ここ!ッはぁ!ッ!」  「もっと?」  「もっとぉ!ッあ!ンッ!は!気持ちイイ!」  弘樹は恥ずかしそうな仕草をするが、腰を激しく振って、涎を垂らして口角を上げる。  (お前も覚えちゃったか…ここの良さ)  「イきそ?」  「ん…ッ!まだ…まだ…ッ来ないっ」  「波がある?」  「ァア!組長、ッ!声!やぁ!」  質問するたびに顔を赤くする弘樹に首を傾げる。  (声…?)  誰のだ、と思って耳を澄ますと、リョウタ達の部屋からリョウタの絶叫が聞こえた。  (あぁ…これで興奮してんのか。)  若いな、と笑っていると今度は目が合う。  「は、っあ、っ、かっこいい、っ、組長、キス、して」  「はっ?おい、弘樹、」  「キス、して、名前、呼んでぇ…組長の、声、好きぃ…ドキドキするっ、低くて、優し…ッ、ん、キス…」  「ちょ、っ、」  驚いていると、弘樹が腰を引いて指を抜いた後、舌を絡ませてきた。抵抗していると、ドアが開いた。  (あぁもう!お前タイミング悪いな!)  またカズキだと思い、目線だけドアに移すと、びっくりした顔をしたユウヒと、ギロリと睨むカズキがいた。  「っ、弘樹、っ、ほら!ユウヒ来たぞ!」  肩を掴んで離し、弘樹の顔をユウヒに見せると、弘樹はユウヒに手を伸ばした。  「ユウヒ、熱いっ!もう、我慢、できない」  縋るようにユウヒを求めて舌を伸ばす。その顔は先ほどよりも遥かにエロかった。  「ハル。部屋から出て。ユウヒ、相手してあげて。」  「え!カズキ兄ちゃん…俺」  「彼氏なんでしょ?そのまま他の奴に処理させてもいいの?」  「よ、良くねぇ!…でも、俺、分かんない。上手くできないかも。傷つけたら…」  どうしよう、と眉を下げるユウヒにカズキはニヤリと笑う。  (嘘だろ、カズキ)  「大丈夫。ユウヒ、僕が教えてあげる。僕がハルにやるのを真似して」  「うん!分かった!」  (分かった!って元気な返事してんじゃねーよ!バカ!ユウヒはやっぱりバカだ!)  あたふたするハルを他所に、カズキはあくまで「教える」という形を崩さない。  「カズキ!」  「弘樹をほっとけるわけないよね?」  「クッソ野郎」  「何とでも。僕、怒ってるから」 怒ってるのに、押し倒す手は優しくてハルは固まってしまう。  「カズキ…ンッ」  「わ…。」  ユウヒが顔を真っ赤にして目を逸らした。感じたことのない羞恥心が暴れ出す。思いっきり抵抗しても、ギリギリと痛いほど手首を掴まれる。そして、弱い耳元で囁いた。  「言ったよね?怒ってるって」  ゾクッとする声音に、ハルは頭が真っ白になった。

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