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第84話 熱の行方

「ンッ…ん、ッ」  「ハル、ッ、ハルッ」  ハルからのお誘いで何も考えられなくなった。怒っていたのに、嫌だったのに。そんなことどうでも良くなるくらい、最高のハルだった。  (ハル、ハル、好きだ、好き)  「ーーッ!ッ!」  声を出さずにハルがイって、中をきゅんきゅんと締め付ける。最高に気持ちよくて、思わず中に出した。  「ーーッ、カズキ、中…出すなよ…」  ドクドクと注がれるのを感じてか、ハルが嫌そうに言う。  (あぁ…。もう理性が戻ったのか)  少しガッカリして、ズルリと抜くと、少し眉を顰めた後、グッタリとした。  「ハル?」  「ごめん。弘樹のために、ってそれだけだたった。他意はない。」  「ハル…」  「不安にさせて、ごめん。」  抱きしめてくれる腕はたくましくて、優しくて、温かい。少し汗でしっとりした肌が気持ちいい。  「…頼むからガキ相手に嫉妬しないでくれ。こいつらは…カズキと違う意味で大切なんだよ。」  「僕もごめんなさい」  「ん。もういいから。二人の様子見てて」  ハルはバサリと近くにあったシャツを羽織って、風呂場へ行った。  (大人気なかったな…)  この間中途半端で呼び出しがかかって、それから禁欲が続いていた。カズキはため息を吐きながら、後処理や二人の様子を見た。  (リョウタもサキが相手しているようだし…弘樹ももう少しで抜けるかな。ユウヒ、大丈夫だろうか) カズキもやっと冷静になることができた。  ーーーー  (足りねぇ…ッ、最悪!)  ハルはシャワーを流したまま、カズキの出したものを掻き出していたが、また熱を持ってしまった。必死に前を慰めても治らない。中途半端に我慢しすぎたツケが、ハルの理性を奪っていく。  「っ…!っ!」  中が疼いて、迷いながら指を入れてみると、ゾクゾクと快感が背筋を通り、ガクンと力が抜けた。  (やばい…!) 指を突っ込んだまま、崩れ落ちて、湯船の淵に掴まった。  「はっ…っ、ぁ…」  この後どうしようも無くなって、ぼんやりしていると、風呂場のドアが開いた。  「ハル…!どうしたの?体調悪い?!」  カズキが真っ青になって駆け寄ってきた。シャワーを止めて、抱きしめてきた。  「違う…、大丈夫」  「何言ってんの!顔も赤いし!」  悟られたくなくて、必死に抵抗するも、顎を取られて目が合うと、カズキが欲しくなった。  「ハル…ンッ!?」  カズキの唇を奪って舌を入れ、押し倒して上に乗る。  「カズキ…、全然…足りねぇんだけど」  「っ!」  「お前のこれ…、入れてくんねぇ?」  苦笑いすると、今度はカズキから噛みつかれるような勢いでキスされて、焦ったように服を脱いだカズキの熱に体重をかけた。  「ァアーーーーッ!」  (気持ち…よすぎるっ!!)  声が抑えられなくて、アジトではしたくないのに、どうでもよくなるほどカズキを求めた。  (熱い、気持ちいい、もう…意味わかんねぇ)  必死に腰を振って、良いところに当てる。カズキを使った自慰みたいで馬鹿みたいだ。  ザー… 急に温かいお湯に打たれて一瞬固まる。 「声。ハルの声は僕だけ聞きたいから」  「ぅッあ!!ッァア!!」  カズキが腰を突き上げてきて、背中が反る。勝手に声が出てたまらない。  「濡れてるハル…エロすぎる」  「はぁっ!あっ!あっ!!」  「気持ちいい?蕩けてるね。普段もこんな乱れていいんだよ」  「くぅ…っああ!っあああ!」  「イきそう?」  コクコクと頷いて、不規則にガクンガクンと震える腰を、ガンガン突き上げられて、頭が真っ白になる。  「ハル。愛してる」  「ッ!!ッァアーーーーッ!!」  全部の力を吐き出したかのように、勢いよくカズキにぶっかけて、目の前がぼんやりする。  「ハル…大丈夫?」  「ーーッ、ーーッ」  「あら。トんじゃったね。」  嬉しそうな声を聞いた後、カズキにもたれて目を閉じた。 

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