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第88話 アサヒとマヒル②

「アサヒ。大丈夫?」  「最近変なのよねー!なんか食べちゃった?」  ミナトとアイラに心配されても笑えなかった。あれからミナトと目を合わせることもできずに、食事も取れなかった。  (早く親父と話したい)  親父が任務から帰ってくるのを、カレンダーを睨みながら待っていた。  ーーーー  『な、なんだね君たちはっ!』  『あなたっ!』  『お前らか、情報を漏らしたやつって』  『なんの…ことだ?情報?』  『あの人よ!あの人が私たちを殺そうとしてるの!警察をっ!早く!』  『頼む、妻と、息子だけは助けてくれ』  『あなた!いやぁああああああ!』  『頼む、妻と…』  『ここにガキもいたぞ!!仕留めろ!』  『ミナトッ!!』  『ねぇっ!お願い!僕も殺して!嫌だあ!』  ーーーー 「は!!ーーっ、は、はっ、は、」  真っ暗な部屋で汗を拭う。  毎晩見る、あの日の記憶。用意してあった洗面器に胃液を吐いて、叫びたくなるほどの衝動に襲われる。  パチン  急に明るくなった部屋に驚くと、ミナトがタオルと水を持って立っていた。  「何だよ…勝手に…」  「アサヒも勝手に僕の部屋に来るでしょ。僕はダメなの?」  「……」  「やっぱり変だ。…これ…。アサヒ、吐いたの?」  「うるさい」  ミナトが近寄るだけで、呼吸がおかしくなる。吸ってるのか吐いてるのかも分からない。  「アサヒ、落ち着いて。…っ!アイラさん!マヒル!」  ミナトが慌てて部屋を出ていった後、寝起きで茶色のロングヘア爆発しているアイラと、冷静なマヒルがきた。  「アサヒ、どうしたの!」  「ごめんねお兄ちゃん。追い詰めちゃった」  「追い詰めたって…マヒル、何したの」  アイラの声音にゾクッとした。  アサヒは必死に呼吸しながら、マヒルがあの話をしないことを祈った。しかし、アイラ優先のマヒルが黙るはずはなかった。  「お兄ちゃんが、ミナトさんの家族を殺したんだって」  パシン!!  大きな乾いた音に驚いてアイラを見ると、マヒルの頬を打ったようだった。  「アサヒを追い詰めて何がしたいの?それは同時にミナトを傷つけることも想像できなかった?」  「…っ、私は、ここから…出たかったの」  「私たちが結婚するまで待ってって言ってるじゃない!」  「だって!2人が結婚するの見たくないんだもん!早くここから出たら!…っ、アイラさん…っ、私だけ…っ、見てくれるかなっ…って…だから…ごめんなさい…」  泣き喚くマヒルを見てアサヒは歯を食いしばった。アイラがマヒルを強く抱きしめてくれている。  「マヒル…親父と、話すから。それまで待ってほしい。」  「お兄ちゃん」  「ごめんな。ごめん。」  精一杯平気な顔して笑うと、アイラがそっと抱きしめてくれた。似合わない顔すんな、と言いながら。 ちょうどそこにミナトが着替えを持ってきていて、アサヒと目があったが辛そうに目を逸らした。 

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