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第96話 恣に

慣れたようにホテルに向かうサキに、少しイライラする。部屋までスムーズに選んだくせに、部屋に入ると一瞬固まって顔を真っ赤にしている。  「サキ?」  「あ…おう。」  いつもは前髪で隠れた顔が見えて表情がよく分かる。  (いつもこんな顔で照れてたの?!)  サキの方が挙動不審になっていて、リョウタは少し安心した。後ろからそっと抱きしめるとサキの体がものすごく跳ねた。  「サキ、俺、初めて来た」  「……。」  「ドキドキ…するね?」  回した手にサキの手が重なる。熱くて驚いていると、勢いよく手を引かれ、ずんずんと中に歩いて行く。  「ちょっ、サキ!」  無言のままのサキは、勢いよくリョウタをベッドに投げると、起き上がる前に手首を押さえつけた。  「サキ…っ、ンッ」 「ふっ…っ、リョウタッ…リョウタ」  (サキ…興奮してる。)  必死の表情が見えて、リョウタは微笑んだ。目が合うと切なそうに眉を顰めて、ゆっくり顔が近づく。  「リョウタ」  「サキ」  掠れた息が多い声。愛しさが溢れて、リョウタはサキの頭を優しく抱きしめた。  「リョウタが、好き」  「俺も、サキが好きだよ」  手首を握る手が痛い。サキの心臓の音が速くて、リョウタの心臓もそれに合わせるように速くなった。  「サキ…シたい」  「うん。俺も…」  サキの言葉をキスで奪って、2人でベッドに寝て舌を絡め合う。気持ちよくてぼんやりして心地よい浮遊感。キスの合間にお互いの服を脱がせて、体を触りながらキスを続ける。離れ難くて、気持ちよくて、温かい。  サキの固い熱に指を絡めて動かすと、舌の動きが緩慢になるのが可愛い。サキの手がリョウタの熱に伸びて、同じリズムで動かされると、何も考えられなくなった。  「あっ…っあ、あっ…っふぅ、…っ、」  「はっ…はっ…ぁ、っ、リョウタっ」  2人とも激しく動かして、自分のを慰めているかのような錯覚をおこす。リョウタは涙が浮かぶ目でサキを見た。  (う…わぁ…)  サキの気持ち良さそうな顔が見えた瞬間、リョウタは熱を吐き出した。  「く…っ、リョウタ…ッ」  サキも追いかけるように絶頂を迎えて、荒い息のまま抱きしめてきた。  (心臓が…壊れそうだよ…)  リョウタは鼓動が速くて、サキへの興奮も止まらなくて、サキの首筋に噛み付いた。  「っ!痛…いよ、リョウタ」  「サキが欲しい」  「っ、リョウタ」  「は…っ、サキ、サキ」  リョウタは、夢中でサキの首筋に痕を付けていくと、だんだん頭がぼんやりしてきた。  サキの全身を噛んだりキスしたりして、お腹についたお互いの吐き出した熱を舐める。サキがビクビク跳ねるのがたまらなくて、感じたことのない感情が迫り上がる。  (抱いてみたい…)  恥ずかしそうにする顔も、反応する体も、綺麗で美しかった。  バキバキに勃ち上がったサキの熱は、苦しそうでリョウタは口をつけた。  「ぅッ…あぁ!!」  奥まで咥えると、サキの声が響く。  リョウタは自分の呼吸が荒くなったのが分かった。腰にも響いた声をもう一度、いや、ずっと聴きたくて、口内の熱を刺激する。リョウタも気持ちよくなってきて、抱きたかったのに、腰が震える。この熱で、発散してほしかった。  「サキ…ッ」  「ッ、悪い…あんまり、もたないかも…」  サキを呼んで見つめると、我慢した顔をしたサキがゆっくり起き上がって、焦ったようにリョウタを抱きしめた。  「リョウタッ…今日、エロすぎて…すぐ、出そう…ごめん…俺…くっそ…」  はぁはぁと息を整えてそう言うサキが可愛くて、舌を絡めてキスをする。  「ンッ!ん…ッ…ーーッ!!」  緩慢なサキの舌に不満があって、リョウタが激しく絡めると、ぎゅっと背中を握られて、お腹や太ももに熱が吐き出された。  「サキ…キスで…イっちゃったの?」  「…っ、は、っ、…っ、」 サキの熱い呼吸が耳元で聞こえる。リョウタは抱きしめられたまま、ふわりと笑った。  「この…ッ!」  「うっ?っあ!」  勢いよく押し倒されて、見上げたサキの顔にドキドキする。自分の指を舐めたサキは、リョウタの奥をその指で撫でた。  「リョウタ」  「ん…っ!っは、ぁあっ…」  「すごい…しめつけてくる…」  「んっ、っ、ん、っ」  イイ所を絶妙に避けられて、そこに当てようと腰を浮かせてしまう。  「ンッ…っぁ、さき、さきっ」  「可愛い…ここでしょ?」  「ァア!!」  あまりの気持ち良さに目の前に星が飛ぶ。視界がクリアになると、サキがニコリと笑って、2本目で激しく掻き回す。  「ァアーーッ!?ァア!!」  「思いっきり声出して。もっと、聞かせて」  「あぁうっ!っあ!」  3本目がグチュリと音を立てて入ると、腰が逃げる。リョウタは何も考えられなくなって、ひたすら快感に叫んだ。  「サキッ!もぉ!もっ…ッぁ!」  「ダメ、まだだぞ。」  「無理っ!だめ、ッぁあ!あ!」  「ダメだって。ほらストップ」  指が抜かれて、イきそうだったリョウタはガクガクと震えた。必死に呼吸を整えてサキを睨むと、クスクス笑っている。  「一緒に、な?」  「あー!先にイっちゃったのが悔しかったんだ!?だから俺に意地悪を」  「うるせー」 サキは図星なのか、背を向けてゴムをつけ始めた。近くでそれを眺めてツンツンと突くと怒られた。  ぎしっ  「リョウタ、トぶなよ?」  「大丈夫だよ」  少し落ち着いたリョウタは笑って見せたが、身体はまだ燻った熱を隠し持っていた。  (あ、あれ?やばい!どうしよう!?)  ググッ  「はぁん!!んぅーーッ」  「リョウタ、まだ、イくなッ」  「ァア!ダメッーーッダメぇ!イッ」  (なんか、ヘンだ、イくの、まだ、我慢したいのに、止められないッ!!)  「リョウタッ、動くぞ」  「やぁ!ま、だ、ダメなの、ダメだって」  「はぁ、ッやば、気持ち良すぎ」  サキの熱がイイ所を勢いよく何度も突くと、リョウタの頭は真っ白になる。 (キタ…!イく!!) 「ァアァアーーーーッ!!!」 「く…ぅ!」  最高の気持ち良さに浸る間も無く、サキの激しい攻めに涙を流しながら叫んだ。 

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