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第100話 目障り

アサヒはドカっと椅子に腰掛けた。頭を抱えて必死に深呼吸をした。  (またあいつか…。あいつがいるだけでうちの奴らはこんなにも脆くなる。)  「くそっ!!」  殺したくて歯をギリギリと鳴らす。  サキもレンも、リツと付き合いが長かった。サキにとっては初恋の人。殺すこともできないそんな奴。  「アサヒ、連絡したけど…もう闇医者のところにはいないみたい。」  「はぁ!?くっそ!逃げられた!!」  「…迎えがいたみたいだよ」  「迎え?」  アサヒはタバコを吸いながら目線だけミナトに向けた。  「……」  「んだよ!さっさと言え!これ以上イライラさせるな」 ミナトは言葉を選んでいるようだったが、それを止めさせた。今はハッキリ言わないと殺意がわいてしまう。  「シンヤが引き取ったって。」  「は!?」  アサヒは思わずタバコを落として慌てて揉み消した。  「テンカが、サトルの情報を流した報酬にと組に入るのを許可したみたい。だから、シンヤが迎えに。リツは意識は取り戻していたけど動けないからそのまま担架で運んだって」  アサヒは立ち上がって思いっきり椅子を蹴った。  「あぁもう!!目障りなんだよ!!!」  「本当にリツの存在は大きかったよね…。困ったね。サキとレンには割り切ってもらいたいのに。」  「お前にも口を割らないのが余計に腹立つ!!あとこいつ!!リョウタとのデートでリョウタよりリツを優先とかバカじゃねーの!?ここまでバカだとは思わなかった!」  アサヒは倒れたままのサキの足を蹴った。ミナトはそれを横目に、そっとアイリをソファーに寝かせてブランケットをかけた。  「アイリが2人に怒ってた。リョウちゃんが戻らなかったら一生許さないからって。」  「当然だ。……リョウタ…辛かっただろうな。サトルからも、様子がおかしいと相談があった。まさか毎日通ってたとは」  「サキがリョウタを迎えに行った方がよかったんじゃないの?」  「いや。距離おいた方がいいだろ。サキがリョウタの気持ちを理解して、リツを割り切るまでは。」  アサヒのケータイが震える。表示された名前にアサヒは笑う。  (さすがだよ、やっぱりお前は。)  「ハル、どうした?」  予想通りの連絡に、アサヒはミナトにも笑顔を送った。 

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