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第110話 告白

コンコン… ガチャ  「あーらら…寝ちゃってる。」  「疲れたんだろうね。さすがにサトルも爆睡してるみたいだし。」  アサヒとミナトはこっそりリョウタの部屋を覗いて、2人で笑い合った。 帰り間際にサキが急に、証が欲しい、縛る何かを、と言い出した。サトルは一刻も早く帰りたそうだったが、近くのアクセサリーショップに下ろして、10分で帰ってきた。少し恥ずかしそうなサキに見せてみろと言うと、茹で蛸みたいになって、サイズが合うか分からないけど、と見せてくれた。  高くはないが、サキの誠意が見えるものだった。アサヒは念の為にミナトに相談すると、サイズを直してあげると言ってくれたのだった。 「サイズもぴったりか。意外によく見てるんだな」  「そうだね。」  そっと部屋のドアを閉めて、アサヒはミナトの部屋へミナトを連れ込んだ。  「何?」  「ミナト、相手して。」  余裕なくネクタイを引き抜いてジャケットを脱ぎ捨て、ミナトの緩い部屋着の中に手を入れる。  「アサヒ…っ、ンッ」  「ミナトッ…は、好きだ、ミナト」  噛み付くようなキスをすると、ミナトは腰が抜ける。腕でミナトを支えてソファーに押し倒した。  「アサ…んぅ!んっ、ふぅ」  「は…ぁ、ミナトッ、ンッ、ミナト」  (食いたい)  目の前の細く白い首が、ほのかに紅く染まっていく。ミナトを抱きたくてたまらなくて、服さえももどかしい。隔てられてるみたいで、イライラして、焦って、届かないみたいで。  「アサヒ、ッ、落ち着いてッ、逃げない」  「ミナトッ、ミナト」 ミナトはすぐにアサヒに気付いて、声をかけてくれる。柔らかい声も、肌も、頭を撫でる細い指も、全部  (俺のものだ)  久しぶりに理性を飛ばして、ミナトの首筋に噛み付いて、強く吸い取って痕をつける。どんな状況でも受け入れてくれるミナト。きっと理解してくれている。 (俺の行き場のない怒り)  「ぅああ!っあ!ああ!痛っ」  「くっ…」  久しぶりの中はきつくて、アサヒも声を漏らした。苦しそうなミナトの髪を撫でて、衝動のまま奥を突く。逃げる腰を掴んで強く奥へと穿つ。 「アサヒッ…ッ」  「ッ!ッ、ッ!」 リツが絡むと、この組織はブレる。  下のケツもつのが頭の仕事。  (分かってる。分かってる。)  ギリッと歯を鳴らす。  (親父の所なんか…もう殺しに行けない)  裏切りものをそのままにしなくてはいけない。あいつがシンヤと組む、それは… 「アサヒ、大丈夫」  「っ!」  「大丈夫だよ。僕たちは、大丈夫」  (ほら、こいつは分かってくれる。)  ミナトを強く抱きしめて、ありがとうと囁いた。怒りと不安。この組織はまだまだ不安定。親父の、ゴミ溜めみたいな組織は人数が多い分戦力がある。シンヤも、頭は悪いが弱いわけではない。 (リツを惜しいと思っている自分に、1番イライラする。)  リツは人を見て動ける。特攻としては適任だった。それが、シンヤと組むと、あの2人が化けるのが予想できた。誰も拒否しないリツだからこそ、シンヤを受け入れるだろう。初めて受け入れてもらえるシンヤが覚醒する。  「ミナトッ」  「アサヒ、大丈夫。」  ミナトはずっと大丈夫だと言い続けてくれた。女神みたいな顔して笑うミナトを見て、自分の不安や怒りがバカバカしく思った。  「リツ、取り戻す?」  「いや、いらね」  「強がらないでいいよ。シンヤと組むと厄介なんじゃないの?」  「無理だ。シンヤにはもう、リツが必要だ。俺からミナトを取るようなもんだ。無理」  そう言うと、ミナトは顔を真っ赤にして目を逸らした。  (お、照れた)  その顔を見て、ミナトの中で痛いほど反応したモノに、思春期かよ、と内心ツッコミを入れた。  「ミナト、ありがとう。ストレス解消の相手にしちまった」  「いいよ。僕にしかできないでしょ。」  ミナトは終わったと思ったのか、ゆっくりと引き抜いて、服に手を伸ばした。その手を捕まえてまた押し倒す。 「わっ」  「ここからは、優しく抱かせて?お前のこと好きで好きでたまらないんだ。」  「はっ?…ちょ…っと、何それ」  「ミナト、愛してる」  驚いて照れた顔のミナトに優しく口付けて、先ほどまで浅く入っていたところに、ゆっくりと入れ込む。  「あっ、あっ、あっ、…っう…ーーッ」  「くぅっ…ミナト」  「っあ、あっ、んっ、あっ、」  先ほど強張っていた身体は、弛緩し、搾り取るかのように蠢き、アサヒも気持ち良さに目を閉じる。ミナトの甘く、余裕のない声にまた目を開くと、今にもイきそうなほど必死な顔。  「あ!あ!ッ!あ!」  アサヒのシャツを握って、ガクガクと腰を震わせた後、泣きそうな顔でこちらを見た。  「アサヒッ!」  涙がスッと流れて、強く抱きしめる。  「ミナト、愛してる」  「ーーッ!ーーッ!アサヒッ」  「ミナト」  「ーーッ、アサヒ、ッ…」  「なに、どした?」  ミナトの手はアサヒのシャツをぎゅっと握ったまま。イきそうなのを我慢してまで言いたいことがあるように思えて、アサヒも汗をかきながら耐える。  「好き」  「…え?」  「アサヒが、大好き」  「ちょ…っと、お前、何それ」  ミナトは快感に耐えながら、潤んだ目でこちらを見た。ふわりと笑って、また、大好きと言う。  (何、何で、どうした?)  「僕も、越えたいって、思ったの」  「こえる?何を」  「僕、ずっと、アイラさんに謝ってた」  「…は?」  突然出てきた妻の名前に驚く。ミナトは微笑んだ拍子にまた涙を零した。  「アサヒを好きになってごめんなさいって」  「なんだよ、それ…」  「でも、もう、いいんだ。アイラさんもきっと許してくれるよね。アサヒが好きすぎて、たまに嫌になるよ」  アサヒはミナトの涙を指で拭って、ゆっくりキスをした。  「嫌とか言うな。ずっと好きなくせに」  「うん。ずっと、大好きだった。アサヒは僕の全てだから。…独りにしないで。」  「当たり前だろ。」  「リツにも、あげない。アサヒは僕の。」  ミナトの小さな嫉妬を聞いて、アサヒは天を仰ぐ。  (可愛すぎか!!)  「あぁっ!きゅ…うに、ッ!ーーッ!」  「イく前に止められて、心配させてっ、告白されてっ、嫉妬されて、お前!覚悟しろよな!」  「アァアアーーーーッ!!…ンッ…」  「逃げんなっ、よ!」  「ぅアッ!待っ…て、ま、ッ!アァーッ!」  「ははっ、大丈夫かー?」  「ンッ、あっ、ーーッ、ーーッ、?っ?」 「は…っ、すっげぇ…」  「アサヒ…ッ、変ッ止まんないッ…ッ!!」 強い快感に涙腺が決壊し、連続でイってるミナトに何度も吐き出しては、復活した熱を叩きつけた。  「アサヒッ、もぉッ…ッあぁーーッ!!」  「ミナトッ…ッ!」 (ミナトが好きだっ…本当に…たまんねぇ) アサヒはただ無心にミナトを求めた。  ーーーー  「すぅ…すぅ…」  風呂から上がると、疲れきったミナトを着替えさせて、部屋から運ぶ。キッチンで片付けをするハルには苦笑いされたが、気にせずに2階の4人の部屋に向かう。  「あ、来た」  「あ?」  ユウヒが意外そうにそう言って、布団を上げた。  アイリはいつも隣にいたミナトがいなくて寂しかったのか、うさぎのぬいぐるみを抱いていた。  「父さんたち、また来なくなったらどうしようって泣きそうだったから添い寝してたの」  「マジか。ありがとう」  ミナトをアイリの隣に置くと、すぐにアイリはミナトの胸にくっついた。  「「可愛いー…」」  ユウヒとハモって、2人でケタケタ笑った。  「ユウヒ、そういやお前はリツ…大丈夫か?」  「は?ヒロいるし。サキ兄ほどブレないよ俺は。」  「入学式休んだくせに」  「うっせ!あの時はリョウタもヒロもいなかっただろ!…この先ずっと独りな気がしただけ。」  ユウヒが唇を尖らせて言った言葉に、アサヒはハッとユウヒを見た。余裕がなかったあの時。リツが裏切って、仲間がたくさん死んで、サキが殺せなくて、レンが病んだ。全員が今にも消えそうだった。  「ユウヒ、おいで」  ぎゅっと抱きしめると、ユウヒは大人しくされるがままだった。 「ユウヒ、辛かったな。ごめんな」  「辛かったけど、今が楽しいからいい」  「良かった。」  「父さんも、幸せになって」  「幸せだよ。お前たちがいるから。」  ユウヒは眠くなったのか、大きな欠伸をしてアサヒに頭を擦り付けた。  「寝るか?」  「うん。明日テスト」  「赤点取るなよ」  「おやすみ」  「こいつ!」  ユウヒを寝かせて、アイリとミナトのおでこにキスをする。  「おやすみ」  荒んでいた心が休まる場所で目を閉じた。 

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