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第131話 そばにいる幸せと我慢

サキが医務室から部屋に戻ってきた。  リョウタは嬉しくてサキに話しかけ続けていた。 「リョウタ、リョウタ。」  「はい!なんでしょう!?」  「ちょっと落ち着いて。声量も落として。」  苦笑いして頭を撫でられた。  ぽかんと口を開けてサキを見た後、恥ずかしくなって下を向いた。  「はは!本当に犬みたい。ほらリョウタ〜」  「うー…」  両手を広げるサキを睨みつけたあと、ぽすんと胸に埋まった。  (落ち着く…)  「うわー…落ち着くー…。リョウタすごい」  サキの声にドキドキして、そっと背中に腕を回した。つむじにキスされて、顔が真っ赤になる。  「まだしばらくは休んでいいって。リョウタとゆっくりできるのが嬉しい」  「サキが素直だ…」  「うん。そばにいられる時に、ちゃんと伝えたいから」  その言葉は重みがあって、不安も覚えた。明日は会えないかもしれない、それを痛感させられた。  「リョウタ、心配かけてごめん。気を抜いた自覚がある。俺のミスなんだ。」  「ん。もういいから。サキがいるだけで、俺は幸せだ。…でも」  顔を上げて、ニカッと笑う。  「たーくさん甘やかしてくれないと許さない!」  「…っ!はは!うん、わかった」  「たくさんだよ?」  「たくさん、な。」  頭をわしゃわしゃと撫でられて、気持ちよくて目を閉じると、久しぶりにサキの薄くて柔らかい唇が触れた。 ゆっくりとベッドに座って、いつまでもキスをした。 固くなる熱に触りたいけど、2人は我慢して、ふふふと笑い合った。  まだダメだとカズキからの言いつけを守って、手を握った。  「あぁー…抱きたい…」  「まだダメー…。でも、本当は俺もシたい」  サキの少し荒くなった呼吸を聞いて、リョウタも白状した。  お互いやっと触れ合えた。若い2人は悶々とした夜を過ごした。  ーーーー  「おはよ…って、2人とも!すっごいクマ!」  ハルが驚いて2人を見た。カズキはその後ろでクスクス笑っている。  生殺しの状態で眠れるわけもなく、でもお互いそばにいたくてただベッドに横になっていただけだった。  「「ふぁああああ〜っ!」」  2人で大欠伸をした後、2人でソファーに座ると、お互いにコテンと頭を預け、目を閉じた。  「寝た…。何で起きてきたんだこいつら」  「僕がまだセックスはダメだって言ったから、我慢したんだと思う」  「鬼か!」  ハルは苦笑いしながら2人にブランケットをかけ、爆笑するカズキを睨んだ。  「発熱の懸念があったからだけど…ここまで素直に守るなんて!」  「当たり前だろうが!全く!いじめるなよ」  カズキはどうせヤるだろうと思って、無理しないよう忠告しただけだった。  「何て可愛い子たちなんだ。」  カズキは笑いすぎて出た涙を拭いて、よく頑張りました、と2人の頭を撫でた。  「解禁してやれよ」  「どーしよっかなぁ〜?」  「カズキ」  「冗談だよ。凄まないでよ怖いなぁ」  カズキはハルに笑って頬にキスをして謝った。  その後、目覚めた2人に、カズキから解禁令が出ると、2人は目を合わせて笑い合った。 

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