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第141話 力の差

シンヤはリョウタの攻撃を軽く交わしてヘラヘラしている。リョウタはシンヤから目を逸らさずに向かった。  「いいのー?あの美人スナイパー。元カレのところ行ったんだけど?」  「俺が、行かせたんだっ!」  「今頃仲良くしてたりして」  煽る言葉が煩わしくて銃を取った。  「うるっさい!」  「はは!意外に短気?そんなんじゃりっちゃんに勝てないよ?」 銃弾は擦りもしなくて、イライラして闇雲に撃つ。軽く避けていたシンヤが突然目の前から消えた。 (あれ?)  気付いたときには目の前は壁で、頭から血が滴る。 「悪いけど、時間ないから。」  急に凛々しくなったシンヤをぼんやり見る。  (身体が、動かない)  目の前が真っ暗になったり、見えたりする。シンヤの足音が遠くなる。  (ダメだ。俺が止めないと。)  ぐらぐらする頭をなんとか落ち着かせて、ゆっくり立ち上がると少し吐いた。  袖で口元を拭って一歩踏み出した。  (サキの、ところには…行かせない)  パタパタと落ちる血の音が、インカムよりも鮮明に聞こえる。ゆっくりと前に進んで、サキの場所に向かう。  パァン!  聞こえた銃声。  きっとサキが撃ったんだろう。でも、この焦燥感はなんだろう。  意識がしっかりしてきた。  (早く、早く行かないと)  貧血状態に身体が慣れた。  また一気に走り出した。

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