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第149話 目覚めるまでの間
『有名製薬会社代表が反社会組織と関わりがあったことを認めました。この事件は反社会組織、桜井組の内部抗争にまで発展し、トップの桜井テンカと、その構成員のほとんどの死亡が確認されました。』
サキはぼんやりとそのニュースを眺めていた。まるで他人事のようで、長かったあの1日、世間が注目するほどの抗争に自分がいたという実感がなかった。
アジトに戻る前に、アサヒとハルとリョウタは眠ってしまい、ヒヤリとしたが呼吸を確認して安心した。
外にはアイリとカズキが待機していて、アサヒから運ばれていった。カズキの大粒の涙が印象的だった。
先に運ばれていた弘樹に危険な状態が続いていて、そばにはレンとシズクがアイリの指示を受けて動いていた。まだ、闘いは終わっていなくて、サキも指示を受けて精一杯の手伝いをした。
「…サキ、リョウタのこの縫合は?」
「…?アイリじゃないかな。」
先に止血された後を見てサトルに聞かれたが、置いていった為見ていない。
「リツだと思う」
ミナトがそう言ってリョウタの傷跡を撫でた。
「あの子はほっとけないタイプでしょ?」
サキは問いかけられて頷いた。リツが、サキの大切な人を助けてくれたことに目の前が潤む。
「カッコイイねー。相変わらず」
「はい。」
「サキはみる目あるかもね?」
「ありがとうございます」
ミナトはクスクス笑って、治療に参加した。
交代で仮眠をとって必死に看病をした。ハルから復活して、松葉杖をつきながら久しぶりにハルの手料理を食べたメンバーは美味しい美味しいと箸が止まらなかった。
ユウヒはぼんやりするようになって、シズクが心配していたが、アサヒの目が覚めたら母親とマヒルの墓参りに行きたいと漏らした。
それぞれが必死だった任務。
全員ができることをして、壊滅にまでもって行けた。レンがマスコミに情報を流して製薬会社代表は逮捕され、もうアイリを狙う人はいないだろう。
「早くみんなと一緒に美味しいご飯が食べたいね」
「そうだね」
「父さんと、リョウちゃんと、ヒロくん。早く起きないかなぁ〜」
アイリは余裕そうに笑っていた。大丈夫だと分かっているようで、サキも安心した。
3人が目覚めるまであと少し。
サキは今日も寝顔に挨拶をして部屋に戻った。
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