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第157話 完治祝い

汚れた服を脱ぎ散らかして、余裕なくベッドへ倒れる。キスしてないと、息が続かないみたいに激しく舌を絡ませる。  ハルとカズキ御用達のあのラブホテルで、前とは違う部屋で絡み合う。  「ん…ふっ…サキ、サキッ」  「リョウタ…ッ、」  うつ伏せにされて、腰を上げられる。冷たいローションをかけられて、少し力むとサキの長い指が入ってくる。  「ッァアーーーッ!」  「早いよ」  「…ッ、だ…っ、て、ッァア!ッあぅ!」  「狭いな、やっぱり…力抜いて」  「っあ!あぁ!!」  「リョウタ」  「あっ!あっ!っひぅ…っ、あぁ!」  全然力を抜くことができなくて、ぎちぎちとサキの指を締め付ける。まだ1本なのに、先に進めなくなって、焦ってまた締め付ける。  「リョウタ」  優しい声に振り返ると、キスが降ってきて気持ちがいい。ふわふわしたままサキの舌を追っていると、強烈な刺激。  「痛ッ!噛むなよ」  「あっ、あっ、や、待って…っ、強い」  ガクガクと震えて枕を握る。顔を埋めて強烈な刺激をやり過ごそうとするも、2本の指は前立腺をぐりぐりと刺激する。  「だ…め…ッ!!ァアァアーーーーッ!」  シーツにどくどくと吐き出して、不規則に腰が跳ねる。目眩がするほど気持ちよくて、久しぶりに出した熱は量が多くて恥ずかしい。  「サキ…」  「お前だけ…一緒がよかった」  拗ねたサキは唇を尖らせながらも、リョウタが落ち着くのを待ってくれた。指を抜いて抱きしめて、頬に柔らかいキスをされる。  (気持ちいい…)  足に当たる、サキの熱。無意識にぱくんと咥えて、口内で舌を絡めると、サキが天を仰ぐ。  (綺麗…)  リョウタはサキを見つめながら、何度も刺激すると、突然髪を強く握りしめられ、喉の奥に突き刺さる。  「くっ…ッ」  (苦しっ…)  涙目になって耐えると、そこに何度も熱がかかる。少し息を吸ってしまい、盛大にむせた。  「ご、ごめん、ごめんリョウタ」  「ゴホッ!ゴホッ」  全部吐き出して、落ち着くと、サキは眉を下げて謝ってばかりだった。  「いいよ?気持ちよかった?」  「最高だった…ごめん」  お詫び、とおでこにキスされて、ぐちゃぐちゃのベッドから降りて大きなソファーに移動した。座るサキの上に乗って、ゆっくりとサキを飲み込む。  「っふ、っぅ、ん、っ、ん、」  「リョウタ…もうちょっと」  「も…できない、っ」  涙が落ちて、肩にしがみつくと、サキが腰を支えた。  「仕方ないな」  「あっ!?」  目の前に星が飛んで、一瞬真っ白になったと思えば、先ほどとはまるで違う、逃げられない快感。リョウタはサキの肩に爪を立てて仰け反った。  「あぁーーッ!!」  「ふっ、ふっ、っ、んっ、んっ」  サキの声も聞こえて、リョウタは完全に快感に飲まれた。  「う…っ、あ…?あれ?」  リョウタが目を覚ますと、周りはすごいことになっていた。ソファーも床も、ベッドも若い2人の愛し合った痕跡が残っていた。  「サキ…起きて。時間……。時間!?」  リョウタが時計を見ると、休憩を遥かに超えて一泊料金になっていた。  「う…そ。どうしよ!サキ」  気持ち良さそうに爆睡するサキに困って、リョウタは財布を見た。  (やっばー……。俺が年上だから払わなきゃなのにー…)  リョウタの財布に札はなかった。冷や汗のままサキの財布を見た。  (…………。ですよねー!!)  リョウタは腰の痛みを耐えてひたすら歩き回った。でも解決策は一つしかなかった。  決意をして、リョウタはケータイを取った。  「あ!もしもし!」  『おはよう!楽しめたー?』 「あ、えっと、はい、あの、えっと」  切り出し方がわからなくて吃る。声の主は柔らかい声で言った。  『僕からの完治祝い。そのまま出ていいよ』  「カズキさーーん!!」  リョウタはケータイを握りしめて何度も何度もお辞儀をした。リョウタの声で飛び起きたサキは、全裸で激しく頭を下げながら涙目になっている恋人を怪訝そうに見つめるだけだった。  ーーーー  カランコロン  「「ただいま」」  「ぶぁっはははは!金なしバカップル!」  帰ってきた瞬間、レンにバカにされて2人は下を向いて落ち込んだ。  ガチャン  無言で部屋に入り2人は目を合わせた。 「リョウタ」  「おうよ」  「貯金すんぞ」  「あったりまえだ!」  「シナモンロールは1日一個にしろ」  「はっ!?それは無理だし!お前も銃買うのやめろ!俺より給料あるくせに!」  「あぁ!?」  「あぁ!?」  ギャーギャー騒いでハルに怒鳴られるまで言い合いは続いた。 

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