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第164話 それぞれのドラマ
リョウタと弘樹はニヤニヤしてシズクとアイリを見ていた。ドラマやマンガを見ているような日々の楽しみだった。
(今日もアイリが可愛いっ!可愛いすぎる!)
(どうしようリョウちゃん!今後の展開が楽しみすぎるよ!)
2人は目で会話をし、肩を震わせた。周りの気持ち悪そうな視線に気がつかないほど世界に入っていた。
「サキ兄、そろそろ気持ち悪いからやめさせて」
「それを言うなら弘樹にも言え。気持ち悪いのはリョウタと弘樹は変わらない。」
「そうだな。よし、せーの」
パコン!
「「痛ぁ!!何すんのさ!!」」
「そこまでハモれるのかよ!」
2人で頭を押さえて睨む。感心したユウヒと、呆れるサキ。これも日常だ。
リョウタはちらっとシズクを見るも、ニコッと返されるだけ。まるで動揺してないし、本心が分からない。
(振り回されるアイリ!頑張れ!)
グッとガッツポーズをすると、シズクは不思議そうに返してくれた。
シズクが部屋に戻って、ユウヒがその後を追った。しばらくすると、アサヒが大欠伸して部屋に来た。半日以上寝ていたアサヒは頭を掻き、リョウタと弘樹を睨んだ。
「あまり茶化すなよ。」
「「茶化してません!」」
「あいつらはまだガキだ。お前らに唆されて間違いが起こったらまずお前らから殺す」
リョウタと弘樹は抱き合って怯えた。
「シズク。あいつはよく分かってる。己の立場も、優先すべきものも。お前らが煽るから迷うんだよ、バカども」
「アサヒさん!俺、バカじゃなくなりました!」
弘樹がはいっ!と右手を挙げるも、その発言がバカだと一蹴され落ち込んでしまった。
「アイリにも16になったら自由にしろと言ってる。それまではドラマも進展なしだ。」
「うわぁー!超大作じゃん!」
「え、待ってアサヒさん…ユウヒは…」
弘樹は顔面蒼白になり、アサヒから距離をとった。アサヒはまた大欠伸をしながら、男はどうでもいいと言い、弘樹は安心していた。
「俺はさ、孫が見たいのよ。だから、アイリはちゃんと男を見極めて幸せな結婚をしてほしいんだ。」
「「……。」」
弘樹が泣きそうな顔でそうですね、と笑う。
「ばぁか。何余計なこと考えてんだよ。ユウヒには俺みたいな運命は背負わせねぇよ」
「「俺みたいって??」」
アサヒはギクッと固まって、聞いてないふりをしているサキを見た。サキは首を振った。
「あー…。ま、政略結婚的な?」
「「へー」」
「ミナトにも、アイラ…あぁ、ユウヒの母親にも、たくさん辛い思いとか、我慢させたしな」
アサヒは思い出しているのか、微笑んで机を見つめた。
「まぁ、これはこれで幸せだけどな。」
ニカッと笑った顔に2人は安心した。でも、弘樹はまだ申し訳なさが残っていた。
「ヒロ、ユウヒを頼むぞ」
「えっ?」
「俺が認めたんだ。半端は許さねぇ」
弘樹はぽかんと固まっていたが、だんだん目が潤み、唇を引き結んだ。
「はい!!!」
「ははっ!うるせー。…あと、首のあざ、どうした。」
アサヒの目が変わる。弘樹は慌てて首を隠し、何でもないですと笑うも、アサヒの目は鋭くなる。
「誰にやられた」
「えっ…と。」
「ヒロ」
リョウタとサキも助け舟を出せずに黙って固まった。動いたら殺されそうな雰囲気だ。
「ゆ、ユウヒに…」
「はぁ!!?」
「いや、あの!悪くなくて!その!えっと、目が紅くなると、暴走して」
「リョウタ、連れてこい」
「は、はい!」
「リョウちゃん待ってよ!」
弘樹が強く服を引っ張るが、その後ろの方が怖いに決まっている。弘樹に心の中で謝って、シズクの部屋にいたユウヒを引っ張り出した。
ボコられてるユウヒを壁に隠れて見守り、泣きじゃくる弘樹を慰めた。リョウタは弘樹の首のあざをまじまじと見て、1人怯えた。
(弘樹たちのドラマはハードルが高すぎる…!)
あまりの怖さに見たくないと首を振った。
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