165 / 191

第165話 断捨離

今日はでかけるアサヒに同行した。総会でリョウタに絡んできた東野トキノリの所へ行くそうだ。あの日はリョウタも緊張しすぎて失礼な態度だったかもしれない、と反省しながら向かう。  綺麗なお屋敷に行くと、門番に通され、頭を下げるスーツの男達の間を歩き、トキノリの場所へ着いた。椅子に足を組んで頬杖をつき、こちらを睨みつけてくる。  「なんの用だよ。暇人か」  「血気盛んなお前さんにいい話だ。」  「あぁ!?」  アサヒは笑って資料を渡した。弘樹が海外へ行っていた時の報告書だ。  「……マジかよ」  「俺は1番に情報をお前に持ってきた。」  「……。」  「まぁ、嫌なら無かったことでいい。でも、お前には期待してる。」  「これ…本当っすか?」  「うちの情報屋なめんなよ」  ピリッと空気が変わる。リョウタはアサヒの隣で立ったまま固まった。  「やる。」  「そーかい。がんばりな。期待に応えろ」  アサヒはトキノリに背を向けて、リョウタに行くぞ、と呟いた。  「お前の期待には応えねぇ。俺ァ、テンカさんに以外認めねぇ」  「……それは自由だ。勝手にしろ」  アサヒは振り向きざまに笑い、トキノリの屋敷を後にした。  「アサヒさん?どうして?」  「あいつを試したのさ。やっぱりあいつはゴミだ。あの報告書を理解できない」  「???」  「俺は親父と違う。要らないものに時間も、シマも割く気はない。」  サトルが運転する車に乗って、アサヒはダメだあいつは、とサトルに話し始めた。  聞くと、弘樹の情報は国家や軍レベルの話だそうま。多額の報酬金に目が眩み、トキノリは話に乗ってしまった。  「まぁ、義理だけで生かされていたのでしょう。」  「だな。悪いけど、俺には何も関係ない。アイツの言う通り、俺に応えなくていいんだよ」  要らないから。  その顔は氷のように冷たかった。  リョウタは選ばれた側の人間だったから、この顔は初めて見てゾッとした。  愛情深いアサヒを知っているからこそ、ギャップが大きい。  「断捨離の始まりだ。俺らの足を引っ張る自己犠牲万歳の奴らはすぐに消す」  仕事モードのアサヒはあまりにも怖くて、リョウタははい!と大きく返事をするだけだった。  ーーーー  「さぁ〜きぃ〜」  任務から戻ったリョウタはすぐにサキに抱きついた。サキは苦笑いして抱き返し、リョウタの頭を撫でてくれた。  「また怖かったのか?汗すごいぞ」  「怖いよ、怖すぎる!」  「よしよし。」  サキがキスしてくれると、少し落ち着く。気持ちのいいキスをして、見つめ合う。  「落ち着いた?」  「落ち着いた!」 良かった、と笑うサキの顔はどんどん大人っぽくなっていく。綺麗な顔を触って、リョウタは背伸びをしてまたキスをした。  「っ!…落ち着いてないじゃん」  「サキ…シよ?」  耳元で言うと、サキはもっと男らしく見えた。  ギシッギシッ ギシッ 「ッ!…くぅ!、ッン!」  「リョウタ、ッ、リョウタ」  「ァッ!!…ッァ!!」  すぐそこに絶頂が見えてるのに届かない。イかせてもらえない時間が続いて、発狂しそうなほど、快感が渦巻く。あともう一押しが足りない。焦燥感が募って、サキの肩に爪を立てて、頸に噛み付いた。  「痛ッ…」  「うー…ッ!うー!」  もう限界で、ぎゅっと中を締め付けた。  「ほら、イけ!」  「ッ!?ーーッ!?ァアァアーーーーッ!」  勢いよく吐き出して、恥ずかしいほどの量が止まらない。足が浮くほどビクビク跳ねて、リョウタはしばらくトんでしまった。  (き…もち、良かったぁ…っ!)  上から降ってきたサキを受け止めて、余韻に浸る。サキがドクドクと中に放っている。 「サキ、ありがとう」  「俺も」  またキスをして、片付けて、ゆっくり眠った。  ーーーー  『東野組、全員検挙となりました。軍の機密情報を流した罪により、全員に禁錮刑、組長の東野トキノリは終身刑となりました。』  「わぁー。あの案件に手ぇ出すバカいたんだ。」  「ビックリですね!」  後日ニュースで流れた情報を、お菓子を食べながらレンと弘樹が見ていた。アサヒの断捨離だと気付き、2人で怖い、と合図をした。 

ともだちにシェアしよう!