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第165話 断捨離
今日はでかけるアサヒに同行した。総会でリョウタに絡んできた東野トキノリの所へ行くそうだ。あの日はリョウタも緊張しすぎて失礼な態度だったかもしれない、と反省しながら向かう。
綺麗なお屋敷に行くと、門番に通され、頭を下げるスーツの男達の間を歩き、トキノリの場所へ着いた。椅子に足を組んで頬杖をつき、こちらを睨みつけてくる。
「なんの用だよ。暇人か」
「血気盛んなお前さんにいい話だ。」
「あぁ!?」
アサヒは笑って資料を渡した。弘樹が海外へ行っていた時の報告書だ。
「……マジかよ」
「俺は1番に情報をお前に持ってきた。」
「……。」
「まぁ、嫌なら無かったことでいい。でも、お前には期待してる。」
「これ…本当っすか?」
「うちの情報屋なめんなよ」
ピリッと空気が変わる。リョウタはアサヒの隣で立ったまま固まった。
「やる。」
「そーかい。がんばりな。期待に応えろ」
アサヒはトキノリに背を向けて、リョウタに行くぞ、と呟いた。
「お前の期待には応えねぇ。俺ァ、テンカさんに以外認めねぇ」
「……それは自由だ。勝手にしろ」
アサヒは振り向きざまに笑い、トキノリの屋敷を後にした。
「アサヒさん?どうして?」
「あいつを試したのさ。やっぱりあいつはゴミだ。あの報告書を理解できない」
「???」
「俺は親父と違う。要らないものに時間も、シマも割く気はない。」
サトルが運転する車に乗って、アサヒはダメだあいつは、とサトルに話し始めた。
聞くと、弘樹の情報は国家や軍レベルの話だそうま。多額の報酬金に目が眩み、トキノリは話に乗ってしまった。
「まぁ、義理だけで生かされていたのでしょう。」
「だな。悪いけど、俺には何も関係ない。アイツの言う通り、俺に応えなくていいんだよ」
要らないから。
その顔は氷のように冷たかった。
リョウタは選ばれた側の人間だったから、この顔は初めて見てゾッとした。
愛情深いアサヒを知っているからこそ、ギャップが大きい。
「断捨離の始まりだ。俺らの足を引っ張る自己犠牲万歳の奴らはすぐに消す」
仕事モードのアサヒはあまりにも怖くて、リョウタははい!と大きく返事をするだけだった。
ーーーー
「さぁ〜きぃ〜」
任務から戻ったリョウタはすぐにサキに抱きついた。サキは苦笑いして抱き返し、リョウタの頭を撫でてくれた。
「また怖かったのか?汗すごいぞ」
「怖いよ、怖すぎる!」
「よしよし。」
サキがキスしてくれると、少し落ち着く。気持ちのいいキスをして、見つめ合う。
「落ち着いた?」
「落ち着いた!」
良かった、と笑うサキの顔はどんどん大人っぽくなっていく。綺麗な顔を触って、リョウタは背伸びをしてまたキスをした。
「っ!…落ち着いてないじゃん」
「サキ…シよ?」
耳元で言うと、サキはもっと男らしく見えた。
ギシッギシッ ギシッ
「ッ!…くぅ!、ッン!」
「リョウタ、ッ、リョウタ」
「ァッ!!…ッァ!!」
すぐそこに絶頂が見えてるのに届かない。イかせてもらえない時間が続いて、発狂しそうなほど、快感が渦巻く。あともう一押しが足りない。焦燥感が募って、サキの肩に爪を立てて、頸に噛み付いた。
「痛ッ…」
「うー…ッ!うー!」
もう限界で、ぎゅっと中を締め付けた。
「ほら、イけ!」
「ッ!?ーーッ!?ァアァアーーーーッ!」
勢いよく吐き出して、恥ずかしいほどの量が止まらない。足が浮くほどビクビク跳ねて、リョウタはしばらくトんでしまった。
(き…もち、良かったぁ…っ!)
上から降ってきたサキを受け止めて、余韻に浸る。サキがドクドクと中に放っている。
「サキ、ありがとう」
「俺も」
またキスをして、片付けて、ゆっくり眠った。
ーーーー
『東野組、全員検挙となりました。軍の機密情報を流した罪により、全員に禁錮刑、組長の東野トキノリは終身刑となりました。』
「わぁー。あの案件に手ぇ出すバカいたんだ。」
「ビックリですね!」
後日ニュースで流れた情報を、お菓子を食べながらレンと弘樹が見ていた。アサヒの断捨離だと気付き、2人で怖い、と合図をした。
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