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第178話 『レン優先』

泣き疲れたサトルはレンの服を握ったまま眠ってしまった。  (ごめんな、サトル。)  顔色の悪いサトルの頬を撫でて、レンは目を閉じた。  ーーーー  「またレン君が学年1位です!」  「キャー!さすがレン君」  女子や大人たちからチヤホヤされる日々。でも、同級生の男の子からはうけが悪い。物は無くなるし、見えないところで殴られるのも多い。  (痛ぇっ…こんな暇あるなら勉強しろよ)  レンは壁に頭を打ってフラリとよろめいたのを支えられ、顔を上げた。  (…あ、サトル…)  一度殴られてるかどうか聞かれて、ウソをついたことがバレた。目を逸らして下を向くと、無言で同級生に向かって行った。  「っうー!っぅ、うっ!ぅあああん!!」  「痛かったのか?どこ打った?」 「ちがうよ!!サトルが悪者になるのが嫌なんだ!どうして俺なんか庇うんだよ!!俺が悪いから…」 「レンは悪くない」  サトルが先生や保護者に注意されたのが悔しくてレンはサトルの服を握りながら大泣きしていた。  困ったサトルはそっとレンの頭を撫でた。  「お前は良くも悪くも目立つ。敵も味方も多い」  「んだよそれぇ!損じゃんか!!」  「でも、レンのそばには必ず俺がいる。だから、大丈夫だ。」  「ずっと?」  「あぁ。ずっとだ。レンがいいならな」  「良いに決まってんだろ!」  ーーーー  小学校の記憶を見て、レンは目を開けた。  あの時からサトルはブレない。レンだけを見てくれていた。  ポタポタ…ポタ  「俺…ッ、なんてこと…ッ、バカすぎ…だろ…ッ、サトルが…そばに…いるのにッ」  後悔に押しつぶされそうになって声を殺して泣いた。 しばらくそうしていると、背中に温かい手が触れる。ドキッとして固まると、サトルが顔を近づける。 「泣いているのか?」  心配そうな顔。どんな時でも、レンが優先。たとえ、どんなに自分が傷ついていても。  「レン…大丈夫だ。」  大きな身体に包まれると、安心して目を閉じる。  (ここが、俺の居場所だ…。)  深呼吸をして目を開けると、サトルと目が合う。お互い目を逸らさないまま顔を近づけて、触れる直前で目を閉じた。  (あ…、どうしよ…。気持ちいいっ…熱い)  止まらなくなる自覚はあった。  今は何も考えずにサトルを感じたい。  首をカプッと噛まれると背中にゾクゾクと快感が走る。 (ダメなんだ。俺は、サトルじゃないと…)  少し触れられただけで、制御ができない。大声で喘いでしまいそうな焦燥感。  必死にサトルにしがみついて、ゆっくり服を脱がされるだけでイきそうになって震えた。サトルの手が熱が、息が、レンを、丸裸にしていく。  「うぁっ、っあ、っ!っあ!?」  「一回出すか?」  どんな時も、レン優先。  優しさに泣きそうになる。優しくされればされるほど、自分の過ちを後悔する。  「もう泣くな。俺は大丈夫だから。」  親指で優しく涙を拭われる。  困ったように微笑んでくれるサトルは、もう一度、大丈夫だ、と言った。  「お前が、これから先もそばにいるなら、もういいから。」  「サトルッ、サトル、そばに…いてほしいっ、こんな、俺で、ごめん、ごめんなさい」  「うん。分かった。」  サトルは、今度は嬉しそうに笑ってくれた。ズキンと痛む胸を噛み締めて、レンも笑った。  「今度は俺が、サトルを幸せにするから!」  「…は?」  「もう傷つけない!!」  「……。」  きょとんとしたサトルは、後から意味が分かったのか、声に出して笑った。サトルが幸せそうにこちらを見るから、レンは堪らなくなってサトルを押し倒した。  「レンッ…無理すんな…ッ」 「してないッ…ッん、んぅ!っああ!ぁあ!あぁあ!」  「ふ…ぅ、ッ!」  サトルの上に乗って、サトルを気持ちよくすることだけ考えて腰を振る。サトルはこんな時もレン優先だけど、今日は余裕がなさそうで、サトルの素が見えた気がして、気持ち良さと同時に嬉しさを感じていた。  「レン、待て、ッ」  「え?…っうんっ!?…っ!」  突如、サトルがビクッと跳ねたかと思うと、中が温かくなった。ドクドクと注がれることにレンは堪らなくて舌舐めずりをした。 「はぁ… ぁ、は、」  サトルは腕で顔を隠して必死に呼吸をしていた。レンは試しにきゅっきゅっと中を締めてみると、ガシッと腰を掴まれ、止められた。  「待て、まだ、待って」  ゾクゾク!  (あれ…?なんだこれ…)  ゾクゾクするのが止まらない。今のサトルを激しく攻めたらどうなるんだろう、とまた舌舐めずりをした。  「サトル、ごめんな?」  「だから、もういいって…」  「ちがう。俺、目覚めちゃったかもしれない」  「…は?」  レンはそっと腰に置かれたサトルの手を握って、サトルの顔の横に置いた。少し顔を近づけて、ニヤリと笑う。  (あー…やべぇ、ゾクゾク止まんねぇ…)  サトルは目を見開いて固まっている。  「最高に気持ちよくしてあげるな?」  「レン、待て、待てだ。」  珍しく慌てるサトルをキスで黙らせて、入ったままの熱を腰を上げて抜けるギリギリで止まる。  (サトル、俺で気持ちよくなって)  暴れるサトルにまたゾクゾクして、腰を思いっきり落とす。  「ーーッ!?」  「アァーーッ、最高ッ」  思わずキスを外して喘いでしまった。レンは夢中で腰を振って、ギュッギュッと締め付けると、サトルは余裕なさそうに首を振る。荒い呼吸からは気持ち良さそうな声がして、レンの興奮は最高潮に上がる。  「レンッ…はッ、レンッ」  「う…ぁ、っはぁ、…っ、イきそ?サトル?イく?」  サトルは切なそうな顔をして、コクンと頷いた。 「は?」  今までのゾクゾクとは違うものが迫り上がって、レンは急速に絶頂に向かう。  (何これ、なんだこれ、知らない)  「レン、来い」  腕を引かれて、サトルに抱きしめられると、サトルが激しく腰を突き上げ始め、レンは目を見開いた。  (だめだ、くる、今までの、超えるやつ)  「サトル!サトル!!」  「イくぞ、レン」  ぎゅっと抱きしめられ、レンの良いところを狙われた。  ゾクゾク!!!  「ッァアァアーーーーーーッ!!?」  「くぅ…っはぁ!!」  中の熱を感じて、ビクビクと跳ねる。目を合わせて、ゆっくりキスをする。 (やっばぁ…超満たされた…)  ふふ、と笑うと、ペシンと叩かれた。  「なんだよ、お前。キャラ変わってたぞ」  「いやぁ〜俺、性癖の開けちゃいけない扉開いちゃったかも。」  「は?」  「お前を幸せに出来そうだ、って話」  ニカッと笑うと、サトルは少し恥ずかしそうに目を逸らした。  「…ま、今日のはよかった」  「だっろー!!?」  レンはニコニコしながらサトルに甘えた。サトルも嬉しそうに頭を撫でてくれた。  スパーン!!!  「お前ら!仲直りしたなら部屋戻れ!!」  「「ッ!」」  「心配かけやがって!!ミナトとリョウタに謝っておけよ」  スパーン!!!  一瞬のアサヒの登場に2人はドアを見つめたまま固まった。  「戻ろうか」  「あぁ。そうだな。」  2人はいそいそと部屋を片付け始めた。 

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